忘れようだなんて。
人間じゃなく道具でありたかった、だなんて。
人殺しの罪悪感から逃げたかっただけだ。
俺は墓石をなぞって殉職した人間の名前を辿る。
この人達は、ちゃんと、殺した人間への罪悪感を背負って戦い続けていたのだろうか。
殉職した人間が英雄であると、そう言われるのもあながち間違ってないかもしれないな。
そこにすら刻まれていない少女の名前を、思い浮かべる。
夢に出てこないのは、ちゃんと受け止めたからだろうか。
誰も君のことなんか覚えてないかもしれない。
俺以外は。
だから、俺は。
絶対に君を忘れはしないよ。
橙色ナイトメア
オレンジ色の悪夢を何度でも。
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