クロロの念についての考察





※ 2012/03/06 ツイッターで読みたいと言った方がいたので急遽ページを作りました。楽しんでもらえると嬉しいっす!



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クロロの念能力について考察してみた。
考察に関する記事は、考察である事を強調するため、硬い文体で書き示そうと思っている。その点ご容赦を願いたい。


まず、クロロが持っている念能力"スキルハンター"の成立条件を記す。

以下は原作13巻より


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スキルハンターは、他人の念能力を盗んで使うことができる特質系の能力である。盗んだ側は具現化した本に盗んだ能力を封じ込め自由に引き出すことができる。盗まれた側はその能力を使えなくなる。

また、盗むためには以下の条件を満たさなくてはいけない。


A. 盗むために4つの条件をクリアしなければならない。
@相手の念能力を実際に目で見る。
A相手に念に関して質問し、相手がそれに答える。
B本の表紙の手形と相手の手の平とを合わせる。
C1〜3を1時間以内に行う。


B. 盗んだ能力を使う時は、本を具現化して右手に持ちその能力のページを開いた状態にする。そのため、スキルハンター発動時は片手で戦うこととなる。

C, 盗んだ能力は、盗まれた相手が死んだ時点で本から削除され使えなくなる。


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さて、これを踏まえてクロロのスキルハンターが「何を」盗むのか考えてみたいと思う。結論を言えば「念」を盗むのだが、これは「発」を指すのか「練」や「纏」はどうなのか、オーラは盗むのか、ということをはっきりさせたいと思う。


論点@クロロは念と共にオーラも盗むのかどうか


オーラは人間の生命エネルギーである。そのため、オーラが盗まれた場合、生命エネルギーの減少、つまりは酷い疲労・生命力の低下と言った症状が見られるはず。しかし、念を盗まれたネオンは盗まれたことに気づかずまた肉体の疲労描写も一切無かった。オーラは盗まれていないと言える。よって論点@の結論は「クロロは念は盗むがオーラは盗まない」となる。(※後述の論点DEに深く関わります)


論点A  盗まれる念に「纏」や「練」は含まれるのか


クロロのスキルハンターに記載されるものは「技の名前」「技の内容」「元の使用者の顔」である。四体行は「纏」「練」「絶」「発」で構成されるが、使用者本人が「技」として命名して使うものは「発」に限定される場合が多い。ただし、発と練の区別が曖昧なものもある。(例:ウボーのビッグバンインパクト…ただ拳にオーラを纏わせて殴ったもの) 上記より、クロロが盗むものは、使用者が「技と認識し命名したもの」=「発」ということになる。よって結論「盗む念に纒や練は含まれない」


論点B  盗まれた後も盗まれた人間は念は使えるのか


盗む念は「技名をつけた発」であり、纒や練、オーラは盗まれない。そのため、技名をつけた発が複数ある場合(例えばドッキリテクスチャーとバンジーガム)、盗まれなかったものはそのまま元の人間が使い続けられる。また、オーラは残っているため真っ当な訓練をしていた念能力者であればまた念を身につけることができるはず。ただし、ネオンみたいな無意識に念を習得した人間が再度念を習得するのは非常に困難と言える。よって論点Bの結論は、「念を奪われた後も代わりの発があれば使用でき、また再度習得が可能」、である。

少し話がはそれるが、もし奪われた場合でもウボーやゴンのような純粋な肉体強化系の場合、新しく作り直すのが容易である。特にウボーのビッグバンインパクトはぶっちゃけオーラを込めた右ストレートなので、オーラがあればすぐに作ることが可能。それと対照的に再構築しにくいのは、操作系・具現化系・特質系、辺り。クラピカは再度鎖をいじくり回す所から始めなくてはいけなくなる。


論点C  スキルハンターと相性の良い系統は何か


上記に、念を盗まれても比較的軽微な系統と重大な系統を書いたが、盗む側にも合う系統と合わない系統があると言える。まず、一番相性が合わないのは「操作系」 クロロはスキルハンター発動時に右手に具現化した本を持つことを制約としているが、操作系の場合は愛用の武器を使用しないと念が発動しない場合が多々ある。(シャルの携帯、モラウのパイプ等) 巨大なバックに盗んだ操作系能力者の愛用の武器を詰め込んで必要な時にそこから取り出して左手に持ち右手には能力発動のために不可欠な具現化した本を持つ、だなんて効率が悪いにも程がある。操作系=道具の持ち運びが必要、であるため、操作系は一番相性が悪い系統と言える。

次に相性が悪いのは、強化系。肉体を純粋に強化する強化系はクロロと相性が悪い。クロロはスキルハンター発動時、右手に具現化した本を持ち続ける、という制約がある。片手が埋まっているのに、わざわざ肉体を強化して戦う、というのは理にかなっていない。片手が埋まっていてもそれを上回るメリットが、スキルハンターから呼び起こす念に無くてはスキルハンターを発動させる意味がない。よって強化系も相性が良くない。

次にくるのは、放出系・変化系。これは、どのような能力が付加されているかによって変わってくる。例を出すと、キルアのナルカミ・カンムルは電気能力のついたオーラで肉体の動きを早めるものだが、それ以外の特殊能力は付加されていないのであまり魅力的ではないと言える。マチの念も特に特殊能力ついているわけではなく技術・テクニックに頼る面もあるため、あまり魅力的ではない。フランクリンもただの念弾の放出のため、魅力的ではない。辛うじて盗んでメリットがありそうな能力は、ヒソカのドッキリテクスチャー。あらゆる物質の質感を再現するという能力は、使いどころによっては効果を発揮する能力である。しかし、蜘蛛の頭として使う機会は少なそうなので、やはりメリットは低い。この他、作中には出ていない特殊能力を付加させた変化系・放出系が存在する可能性があるため全否定は出来ないが、放出系・変化系とスキルハンターとの相性は盗む対象によりで、モノによっては合うがモノによっては全く合わない。


そして、スキルハンターと相性がいいのは、具現化系・特質系と言える。
具現化系は、操作系と違って手に何かを持つ必要がないため、持ち運びし易い。また、クラピカやシズクを見てわかるとおり、具現化系能力には特殊能力を付加している場合が多い。そのため、スキルハンターとの相性はすこぶる良い。特質系に関しては言わずもがなである。

よって結論:スキルハンターと相性の良い系統は、具現化系・特質系で、悪い系統は、操作系・強化系である。


さて、次は考察の中で一番の大きな問題について考えてみたいと思う。

論点D 威力は盗めるのか
論点E 身体的特徴が必要な念はどうなるのか



二つは違うように見えて、根本は同じなので一つに纏めて考えてゆく。まず、それぞれどういうことかと言うと、論点Dは、ゴンさんの「ジャジャン拳」を盗んだ場合、を想像してもらいたい。この盗んだ「ジャジャン拳」が、通常ゴンの威力で再現されるのかゴンさんverで再現されるのか、クロロの体内のオーラ量に依存して再現されるのか、ということだ。論点Eは、例えば、クラピカの念を盗んだ場合、緋の目を持ってないクロロはどこまで使えるのか、という点だ。

二つとも、使用者に帰属するのか、オーラに帰属するのかという点で根本は同じであると言える。まず、念が使用者に帰属すると仮定して論点DEを考える。


仮定1:盗んだ念は使用者に帰属する


この場合、ゴンさんの「ジャジャン拳」を盗んだ場合、クロロはゴンさん並みの威力は使えず、自身のオーラ量に依った「ジャジャン拳」を繰り出す事になる。また、クラピカから盗んだ場合、クロロはクルタ族でないためエンペラータイムは使えなくなる。自分のオーラを使って技を出すというこの状態は、クロロが複数の技を自身で習得している状態と同じになる。スキルハンターに収録された念=自分のオーラを使って繰り出す技=自分が習得した技と同義=技が失われる時はクロロが死んだ時、となる。これは、スキルハンターの成立条件、C, 盗んだ能力は、盗まれた相手が死んだ時点で本から削除され使えなくなる、という条件を満たしていない。よって仮定1には矛盾が生じる。


仮定2 盗んだ念は元のオーラに帰属する


この場合、「ジャジャン拳」はゴンと同じ威力のものを使え、エンペラータイムも使えることになる。そして、スキルハンターの成立条件C, 盗んだ能力は、盗まれた相手が死んだ時点で本から削除され使えなくなる、これも盗んだ念が相手のオーラに帰属していると考えると説明がつく。

しかし、この場合論点@の結論:クロロは念は盗むがオーラは盗まない、と矛盾が生じてしまう。論点@の結論の根拠は「念を盗まれたネオンが元気だったから」というものだが、これは根拠としては弱い。何故なら、「クロロに念と共にオーラも盗まれたが、元気を失う程では無かった」という可能性が含まれるからだ。ここで原作の9/1、ネオンがヨークシン入りした描写を思い出して頂きたい。ネオンは車の中で顧客に今月の運勢を占っていた。しかも、複数人。それが終わった後、少し疲れた様子が描かれているが、父親に物をねだるくらい元気であった。つまり、ネオンの念はオーラの消費、つまりは生命エネルギーの消費がが少なかったと言える。そのため、クロロに念と共にオーラを奪われたとしても、肉体的な疲労に通じなかった可能性がある。

上記より、論点@の結論を変更、「スキルハンターは念と共にオーラを盗む」とする。また、クロロが念を盗む条件A. (盗むために4つの条件をクリアしなければならない。@相手の念能力を実際に目で見る。A相手に念に関して質問し、相手がそれに答える。B本の表紙の手形と相手の手の平とを合わせる。C1〜3を1時間以内に行う。)より、盗まれたオーラはこの条件を行っている最中のオーラの状態とオーラ量と言える。戦闘中、オーラが跳ね上がっている状態で盗めば、その念はかなり威力の高い状態で保存される。

つまり、ゴンさんから「ジャジャン拳」を盗んだ場合、ピトーを倒すレベルの「ジャジャン拳」をモノに出来、また、緋の目状態のクラピカから念を盗めば、クルタ族でなくてもエンペラータイムを使うことが出来る。ただ、戦闘中にスキルハンターの成立条件4つを成立させるのはゼノ・シルバ戦を見ても困難であるため、戦闘中の略奪は一長一短と言える。


仮定2に話を戻すが、「盗んだ念は元のオーラに帰属する」と考えた場合、この仮定に矛盾事項は一切存在せず、またスキルハンターの成立条件を全てクリアしているため、仮定2は正しいと言える。よって、論点D 「威力は盗めるのか」論点E 「身体的特徴が必要な念はどうなるのか」の結論は「威力は盗んだ時の状態に寄り、身体的特徴がオーラの状態に還元される場合に限り、身体的特徴が必要な念も利用できる」と言える。ただし、この身体的特徴は「性別が女である」といったオーラの状態にに影響を与えないものはその限りではないと言える。


論点F テクニック盗めるのか

蛇足的な考察であるが、最後にこれを考えたいと思う。テクニック・技術に関して、テクニックは相手の肉体に依存するものであるので盗めないと言える。バショウからグレイトハイカーを盗んだとしても、上手に俳句が作れなかった場合はこの念の無意味となってしまう(クロロなら上手な俳句くらい簡単に作ってしまいそうだが)し、ボノレナフの念を奪ったとしても、体に穴の空いていない肉体でかつ部族の踊りの技術のないクロロには、この念を使いこなせない。スキルハンターで盗んだとしても有効に使える念は意外と少ないのだ。


さて、このクロロに関する考察も長くなってしまったがそろそろ纏めに移りたいと思う。

<まとめ>

論点@ADEを簡潔にまとめると、「スキルハンターは相手の発とその発を一回発動するのに必要なオーラを盗む。またオーラの状態は略奪時の状態が適用される。」となる。また論点Cより「スキルハンターと相性の良い系統は具現化系・特質系といえ、相性の悪い系統は操作系・強化系」といえる。ただし、オーラの状態・量は略奪時の状況が適用されるため、強化系でもゴンさん化しているゴンの「ジャジャン拳」など例外もある。クロロのスキルハンターは、無敵の念のように思えるが、有効に使える念は意外と少なく、また、略奪時に成立すべき条件が幾つもあり、使いこなすのが困難である。相手の念の有効性を見極める目、相手に自身の念について答えさせる話術、盗んだ念も使いこなす身体能力の高さ、それらを即座に判断する回転の早い頭、などがないとスキルハンターを使いこなせない。スキルハンターについて考えれば考えるほど、スキルハンターの煩雑さと共にクロロ=ルシルフルの能力値の高さを思い知る。スキルハンターは、クロロ=ルシルフルがいて初めて効果的に機能する念だと言える。


以上がクロロの念「スキルハンター」に関する考察である。




あーる



PS この考察に関する意見・反論・感想など随時受け付けているので、一言ある方はTwitterからどうぞ。また、執筆者は不定期に冨樫オフ会を開催しているので、このような考察の語り合いが好きな方・したい方、随時募集しております。





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