(同級生銀→妙)

カッカッと黒板にチョークで文字が書き込まれる音が鳴る。
その文字を追いかけノートを取る生徒達。
机に向かい、教師の声は聞いているのかいないのか。
(ちなみに俺は聞いていない)
あくびをひとつ漏らし、ほおと息を吐く。

ふと、目に付いたのは斜め前窓際に座る、髪をひとつに上の方で束ねた女子。
真っ直ぐ背筋を伸ばし机に向かうのは、クラスの委員長"志村妙"
まじめでしっかり者の委員長は皆の人気者で、誰もが彼女を好いている。
つい最近、告白されてるところも目撃してしまった。

「あっ」
志村のかすかな声が聞こえた。
どうやら消しゴムを落としたみたいだ。
それを拾うのは志村の隣の席の土方だった。
「ん」
「ありがとう土方君」
志村は笑顔でお礼を言い、再び顔を黒板に向けた。

認めたくなんかなかった、けど
俺は志村の笑顔が土方に向けられたことに
無性に苛立った。
ふたりは校内でも1.2を争う美男美女だ。
一時期「ふたりは付き合ってる」といううわさも流れた。
その時も、どうしても気になって仕方なかった。

あいつなんかに見せたくない、と思ってしまう。
志村にとっとは俺は単なるクラスメイトだろう。
けんかをする事も多いけど
それでも俺は彼女の笑顔を追っている。

ひとりじめしたいな、なんて考えてる。


授業が終わるチャイムまで後5分。
告白してもいいんじゃないかと思ったが、その前に。
彼女の好きなアイスクリーム。
一緒に食べに行こうと誘ってみようか。
ヅラから貰った割引券もあるし。

俺は机からルーズリーフを取り出した。
ラブレターでも書くかのように、少し手が震えた。
これを受け取ってくれた彼女。
「告白かな」とか思ってくれればいいなと
心のどこかで思った。

(放課後、話あるんだけど)

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