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お礼文は現パロ利こま『君が、嫌い01』(秀作・仙蔵・伊作♀化)です。(君〜シリーズ)











「あ、山田先生、当直お疲れ様でした〜」

当直室を出てナースステーションに入ったら、早速ナース達に捕まってしまった。
目立たないようにと音も立てずに来た筈なのに、彼女達のセンサーとやらには本当に感心させられる。
勿論、嫌味な意味でだが。
そんな考えとは裏腹に取り繕った笑顔で挨拶をする。

「おはよう。昨晩は何も無くて良かったね」

「はい!先生お休みなんですよね?週末は何されるんですかぁ?」

何でそんなプライベートな事を言わなけりゃいけないんだと言う言葉は飲み込む。

「そうだなぁ、家でゴロゴロするかな」

「そんな事言って本当は彼女さんが家で待ってるんじゃないですか?」

1人の言葉に一斉に皆が探るような目を向けた。
…怖いな、独身適齢期の女の視線は。
自分で言うのも何だが医者なんて変人ばっかりなんだから、まるで白馬の何とやらを見るような眼差しは遠慮して貰いたい。
本来なら愛想を振り撒くような人間ではないが、同じ職場のしかも中々に腹黒い彼女達を敵に回すよりは良いだろうと中途半端な笑顔を向けているせいで、熱い視線が途絶えないのだ。
何と返事をしようかと、寧ろその視線に圧倒されて黙っていたら、別の1人が小さく叫んだ。

「…先生、クリスマスに凄い美人の女の人と居ましたよね?私見ました。彼女さんですか…?」

「え!そうなんですか先生!」

「お相手もドクターですか?」

「先生、やっぱり彼女居たんですか?」

「いや、あれはー」

口々に質問され詰め寄られ思わず顔が引き攣り掛けた所で、背後からバタバタと言う音と共に良く知った叫び声が聞こえた。

「わあぁぁぁ〜っ!!」

振り返ると床に倒れてファイルの山に埋れている姿が目に入った。
制服のスカートが捲れ上がって、太腿が露わになっている。
確か昨日も同じ場所で転けたのを思い出していると、案の定ナース達から冷ややかな囁きが聞こえて来る。

「あーあ、またやってる」

「本当にどんくさいよね、小松田さんって」

「同じとこで転けて、あれってわざとなんじゃない?」

…どうして女ってのはこうも意地が悪いのだろう。
あいつが計算でわざと転けるだなんて芸当出来る訳無いし、しかもどこにそんな理由が有ると言うのか。
座り込んだままモタモタと散らばったファイルを集める姿を見て、溜め息を付きながら近付こうとした瞬間ー

「んとにドジな奴だな。事務員なんて辞めてしまえ」

「出茂鹿くん!」

自分より先に手を伸ばした男を無意識に睨み付けた。
奴を立ち上がらせるとサッサとファイルを拾って自ら机まで運ぶ。

「ふえ〜ん、出茂鹿くん有難う」

「ふん、目障りだからな。それに出茂鹿って呼ぶな!」

「ご、ごめんなさーい!」

直ぐ目の前で交わされる会話に顔が曇るのが分かって自分でも驚く。
…今更何を考えているんだ。
もう彼女とは何の関係も無いじゃないか。
今は恋人でも何でも無いのだから。

「出茂鹿之介先生って小松田さん狙いなのかしら」

「えー!ウソ〜!でも確かに何かと絡んでるよね?」

「小松田さんもさ、出茂鹿先生の前でわざとやってるとか?やっぱりドクター狙ってるんだ!」

「小松田さん、最近彼氏と別れたって言ってたよ」

「彼氏居たの!?何か以外…え、先生もう帰るんですか?」

「…疲れたから、じゃあね」

ナース達のガールズトークとやらに胸くそ悪くなってその場を離れた。
3か月前、「距離を置こう」と言って嫌がる彼女を突き離したのは他の誰でも無い自分自身だ。
クリスマスイブに見合いをさせられて、確かに喧嘩の発端はそれだが、彼女が言った一言に血が昇ってしまったのだ。

ー僕だって利吉さんがいなくても全然平気なんですからねっ!こう見えて結構モテるんですから!

いつもなら聞き流すそんな戯言を、あの時はどうしてあれ程イラついて真に受けてしまったのか。
そこから口論になり売り言葉に買い言葉で別れたのだが、その内泣き付いて来ると思われた彼女はメールの一つも寄越して来ない。
同じ職場だけに毎日顔を合わせるのにお互い避けるように言葉も交わしていなかった。
どこか落ち着かない、焦る自分に気付かない振りをするのも疲れて来ていると言うのが本音だった。
しかし寄りを戻したいと言える筈も無くもう3か月が過ぎる。

「…あー、もう!」

廊下で1人叫んだら直ぐ前を歩いて居たスーツ姿の男が振り返った。

「利吉くん」

「土井先生!」

…今は会いたくなかったかも知れない。
その考えさえも察している笑顔を見て大きく溜め息を吐いた。







(続く)







駄文で失礼致しました(*_*)有り難う御座いました☆





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mokuji


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