鈴の音





珍しく今日は僕が先のはず。

優葉からはさっき会社を出たとメールが届いていた。

相変わらず遅くまで働きづめの優葉。

「だから、あんなに細いんだよ。」

思わず飛び出たつぶやきが、まるで優葉のもののように思えて少し自嘲的に笑う。

地下へと下る階段の前で僕はいったん立ち止まった。

いつもと同じ階段。

でも・・・

いつもとは違う決意を胸に秘めて。

僕は優葉の手を握り締めるかの様に、やさしくドアノブを握り締めた。


チリンチリン・・・




今日はどんな音に聞こえるのかと思ったら、やっぱりチクッと胸に刺さる鈴の音。



いつものように店に入り、僕は個室に腰を掛けた。




どんな顔をして優葉は入ってくるだろう。

優葉は気づいているだろうか?

僕のこの決意を・・・






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