2.time goes by





いつからか毎週火曜日が僕にとって大切な日になった。
韓国や地方に行くことも多いから、都内にいる火曜日。
そう、今日のような火曜日はとっても大切なんだ。

せっかくの火曜日

今日は新しいアルバムのジャケット撮影。
みんなでの撮影を終え、個人の撮影が始まる。
今日に限って僕の撮影順は一番最後。

せっかくの火曜日なのに。


「今日、何か約束でもあったんですか?」
「え…」

カットの合間に僕に駆け寄ってきて、些細な前髪のずれや、少し汗ばんできた肌を整えてくれるメイクさん。

視線は僕の前髪に向けたまま、こっそり小声でたずねてきた。

僕はやっぱりポーカーフェイスは苦手だ。
そんなつもりはなかったんだけど
気を使わせてしまうほど、はやる気持ちを顔に出してしまっているみたいだ。


「いやそんなわけではないんです。ちょっと疲れてて。」


口ではそう言ったくせに、すぐ時計に目をやってしまう。
時計からそらした目がメイクさんと合った。
メイクさんは少し笑って「ファイティンです」と言ってくれた。


どんなに心をはやらせて時計を見たところで、憎たらしい秒針は歩みを止めてはくれない。
あの時計が止まったら。
ずっと…

最近、そんなことを考える事が多くなった。


時間を止めて、世界を止めて永久に今日という日が続いたらいいのに。


そう、毎週

こんなときばかり僕は神に願ってしまう。







優葉




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