Novel
3 帽子屋屋敷へようこそ
【3 NOTE 】
不定期連載【モノクローム アクト】
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愛しい世界。
そこには、たった一人の私が居た。
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目覚めたばかりの目をこする。
あたりを見回すと、どうやら無事、時計塔の最上階へこられたようだ。
『うーん。とりあえず降りなきゃ』
降りる前から憂鬱だ。
そう思いながらも足を進める。
_コツコツ
(もうすぐ__)
『え。』
地上へ着いたとき、驚きの光景が広がっていた。
「ちょっと、リナリーはハートの城に来るんだってば」
「いやいや。いくらあんたでもそこは譲れないぜ?」
そこには、ボリスにアリス、エリオットという珍しい組み合わせのメンバーがそろっていた。
「!。初対面で悪いんだけど、あなたがリナリー?」
栗色できれいな発色の髪に、透き通った水色の目。
どうやら僕の存在に気がついたようだ。
その声に、この場の皆が僕に注目する。
『やぁアリス。ご存知の通り、僕がリナリーだよ』
そうわかり易いように答えると、周囲の目はきらきらとかがやいていた。
「ええ!!私もあなたと同じ余所者なのよ。ナイトメアから話は聞いているわよね。ぜひハートの城に・・・」
「同じところに二人も余所者なんてずるいだろ!?だからぜひとも俺の・・・」
その瞬間、ぴくりと言葉がとまった。
原因は後ろの気配だろうか。
その正体をわかりきった上で、僕は男を振り向かず先に沈黙を破った。
『やあブラッド。憎らしいほどの快晴で気分はいかがかな?
嫌いな時間帯に外出するほど面白いものでも見つけたかのようだね』
憎らしい物言いだが、けしてけんかを売っているわけでもない。
「ああ。とても気分がよくてね。悪いがお嬢さんたち。リナリーは私がもらっていく。異議はみとめない。いくぞ、エリオット」
「お、おう!」
それだけ言うと、ブラッドは僕を抱えて歩き始めた。
後ろでぐちぐちと聞こえるが、当の本人は気にしない。
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「開門」
ブラッドがそういうと、屋敷の門はすんなりと開かれる。
そのまま庭へと連行され、ブラッドと向かいの席に絆された。
「さて、自己紹介の必要はなさそうだな。君にはこの屋敷に滞在してもらう。異論はないな?」
異論はないかと聞くが、そもそも異論を認めないだろうに。
『ああ。かまわない』
そういって張り詰めた雰囲気の中、お茶会はスタートした。