14
【14 NOTE 】
不定期連載【クロワール ラヴィット】
なんか急にシリアスになってしまった。
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ユリウスにおかゆを全部食べさせてもらい、一寝すれば起き上れるくらいには回復した。
これも全部ユリウスのおかげだ。
「ユリウス、話とかいろいろ聞いてくれてありがとう」
「ああ」
既にユリウスは仕事モードだ。
邪魔をしては悪いと思い、極力音を出さずに部屋を出ようとする。
そこで以外にも声をかけられた。
「……あいつの所へ行くのか」
わずかに囁かれた言葉が聞き取れた。
普通の人間なら聞き逃すくらいの会話かもしれないが、ユリウスを知っている者にとっては、聞き流すなど到底できない。
「うん。本当にありがとう」
そういって部屋を飛び出す。
誰にも相談はしたくなかった。
急な展開にも慣れてきたつもりだったが、私もまだまだ。
__ナイトメアのもとへ行く。
どうなるかは予想がつかないが、悩んでいてもい方がない。
だったら本人に聞けばいい!!
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「あれっ……」
執務室に向かい歩いていたはずなのに、なぜか灰色の空間にきていた。
(ナイトメアかなぁ)
こんな空間に呼び出すのは、私の知っている限り彼しかいない。
試しに名前を呼んでみる。
「ナ、ナイトメアー……?」
というかいつも病弱なのに急にシリアスな展開になるのか心配だ。シリアスな結末を望んでいるわけではないけれど、もしそうなってしまうならばちゃんとしてほしいのだ。
「ちゃんとするとはどういう風に?」
頭の上から声がする。
「ねぇナイトメア。もう少しまともな登場できないわけ!?」
それもそうだ。
宙に浮いていると思いきや、ただ地面に血を注いでいるだけだ。
「私の聞きたいことはもうわかるでしょ? 教えてよ」
ナイトメアはしばらく黙っていたが、何かを述べた。
「そうだな。私も初めはそう考えていたさ。けれど人間というものは、愛着が湧くものなんだよ」
どういうこと?
そう聞き返したかったのも束の間、視界が揺らぐ。
まだ目覚めたくないと思っていたのはどうしてだろう。彼と話していたかったのか? それとも…
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勢いよく起き上る。
見慣れない場所で目覚めた凪は、すこし警戒した。
「どこ…だろう?」
すると、物音が聞こえた。
「あれ、起こしちゃったか。あんた倒れてたんだぜ? いったいどうしたんだ?」
「え、な、ボリス!?」
咄嗟に口をつぐむ。いきなり名前で呼んでしまった。出会って日が浅く、あまり顔を合せなかったので仲の程はお互いしらずだった。
「ん?あぁいいよ。俺も凪って勝手に呼んでるし」
「そうなんだ…」
「はい、珈琲。時計屋さんとこにいるんだから珈琲は飲めるはずだよな。もう平気か?」
そういいながら、温かいコーヒーカップを手渡してくれた。
(どうしてここまで優しいのだろう? 余所者だからか)
いや、今は考えるのもやめよう。
夢を精一杯楽しめばそれでいいんだ。
ボリスに礼を告げ、時計塔へと帰ってきた。
「ただい_」
ま。と言えなかったのは、不意な出来事がおきたからである。
「ユ、ユリウス!?」
なぜかユリウスに抱きしめられた。
いつもの彼からは想像もできず、どうしたものかと驚く。
(何かあったのかな…怖かったとか。 いや無いか:)
「遅かったな。猫から倒れたと聞いたが、平気なのか? すまない。私が外出を許したせいで…」
え。心配でだきしめられてるの私…
「ユリウスのせいじゃないよ。それにもう平気。ごはん作るね」
そういってユリウスの腕から抜け出そうとすると、腕をつかまれる。
「ユ、ユリウス…?」
!?
腕を引かれ、抱き寄せられた。
そのまま、「ん…っ」
瞬時に抵抗などはできない。
もしできたとしても、していたかどうか怪しい。
「…すまない」
ユリウスは優しく私の体を突き放し、作業机に向かい始めた。
しばらく見ていたが、いくつか部品を壊したり、慌てているように見えた。
私は何も考えられず、必死に夕飯の献立を考えることに専念した。
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〜あとがき〜
あぁぁぁっ
まさかの、まさかのユリウスルートですか・・・
いやぁ、志紀自身も考えてなかったんですけど、びっくりです。
この後は、甘々にしたいですねぇ・・・
ではまた次回!
〜志紀〜