11 アリスとケーキ
【11 NOTE 】
不定期連載【クロワール ラヴィット】
今週から、連載を再開します!モノクロームと同時連載になります^^
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ハートの城の滞在をスキップして、塔へ滞在している凪。
彼女は今日も騒がしく、ユリウスを困らせている。
「ねぇユリウス」
「ああ」
「ねぇってば」
「ああ」
先ほどから声をかけても反応しない家主。
このまま勝手に出かけてしまおうかと思ったが、気づいて心配するかもしれない
。
「ユリウス!! 出かけてきます」
耳元で言うと、反応した。
「ん?ああ。気を付けるんだぞ」
「はーい」
お父さんみたいw
後ろ手に戸を閉め、早々に歩き出した。
今日もいい天気。街に出かけようと思ったが、グレイたちに会いたくて執務室へ向かう。
滞在も決まったことだし、瓶の中身もたまるかな。
ノックをする。
「ああ。いいぞー」
気のゆるんだ返事だ。凪だと読み取ったのだろう。
「失礼しまーす」
「あら? お客さんかしら」
「???こんにちは」
目の前に現れたのは、青いワンピースにブーツ、栗色の髪に綺麗な瞳の女の子が立っていた。
「こんにちは。あなたが……凪さん?」
恐る恐るといった様子で女の子は私の名前を聞く。
「う、うん。あなたは?」
女の子の質問に肯定した途端、その子の目が輝いた。
私の前まで来て、ご丁寧に私の両手を握る。
「私はアリスよ。アリス=リデル。あなたと同じ余所者なの!!やっと会えたわ……って。ごめんなさい。取り乱しちゃって・・・」
アリスはよっぽどうれしかったのだろう。こんな私のことを待ちわびていたなんて。
「大丈夫だよ。私もアリスさんのことは聞いてたから。すっごく可愛いって!!」
「えっ!? 可愛いですって!? あり得ないわよ・・・」
アリスは後ろで寛ぐナイトメアを睨む。
(可愛い子にも棘はある・・・)
「怖いぞーアリス」
「さて。誰が悪いのかしら。ねぇ、アリスって呼んでくれる?私も凪って呼ぶから。あ、嫌だったらいいのよ?」
少し遠慮しながらも、アリスは私と仲良くなろうとしてくれる。
「もちろん良いよ。よろしくねアリス」
「ええ! よろしく。ねぇ? よかったらお茶しない? 二階に美味しいケーキ屋さんがあるの」
おいしい・・・けーき!?
「行くっ!!」
「ふふ。よかったわ。あなたと色々話したかったの。じゃあ行きましょうか」
「うん」
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アリスにつられて来たお店は、女の子向けの可愛いスイーツ専門店だった。
ウィンドウにもおいしそうなスイーツが並んでいる。
「迷うわね……。凪はどれにする?」
「んーと。フランボワーズとラズベリーティーのセットにする!」
ちょうどいい大きさで、紅茶とのセットを注文した。
(なんといっても決め手は安いからっ)
アリスと向かい合わせの席に座り、ケーキを食べる。
「凪。この世界のこと……どう思う?」
突然の質問。真剣な顔で問うアリスは、この世界に何か不満があるのだろうか。
「わたしは・・・いいと思う。確かに、銃を携帯するとかはおかしいと思うけど。そんなことしてたら警察来るもん」
銃をぶっ放されたことはないが、それはナイトメアが入るからであって、普通は歓迎されない世界だという。
すこし考えた末、アリスは話した。
「……そうよね。凪がそういってくれて安心したわ。この世界に来てから命の危険に何度も遭遇して、きっと凪みたいに同じ境遇で考えを共有できる人がほしかったんだと思うの。今はおもうわ、凪でよかったって」
アリスの言葉はとても重かった。
「わかるよ。知らない世界で、何もかも違って、順応しても苦しいものだよ。」
それから私とアリスはしばらく話していた。
けれど。
これからもアリスやみんなと仲良くできるといいと、思っていたのはその頃だけだった。
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〜あとがき〜
あ〜連載再開おめでたい!
約一年。連載を止めてましたが・・・
話を何とか組んで書きました。
これからは凪の能力などのお話を書いていきたいと思います^^
ではまた次回!
〜志紀〜