1 clock


【1 NOTE 】



・・・・・・誰?



誰かが僕を呼んでいる。



その声は、僕にとってなんだか懐かしい声に聞こえた。



きっとそれは、声の主にとっても同じ感情だと強く確信づいた。





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『はぁ……』


ため息をつきながら自室に入る。


目に入ったのは窓から覗くきれいな月。


だいすきな夜の、静かな一人の時間。


(ずっと続けばいいのに)


そう思うことも許されない世界なのか。


思考回路がぐるぐるまわる。


『さて……明日も学校だし早く寝なきゃ』


そう、僕、咲夜=ストラブラッドは高校生2年生。


学校は嫌いだ。


僕の母方の叔母は、異国の血が混ざっており、


ストラブラッドという苗字である。


その為、幼少から虐められていたのだけれど……


《幼少から高校1年生までの記憶がない》


どうして、などわからないことを考える。


自分の心の中が、ぽっかり空いていて喪失感に襲われた。


そして勢いよく、布団の中にもぐりこみ、ぎゅっと目を瞑った。





「……ャ」


だ……れ?


「……クヤ」


え?聞こえないよ。


「サクヤ」


__っ!!


気がつくと、灰色の空間に居た。


(ここ……なんだか懐かしい)


来たことも見たこともないはずなのに、どうして。


どうしてそう思うのだろう。


自己心に浸っていると、男の声がきこえた。


「相変わらず君の心は読めないな」


後ろ振り返る。


口端をあげてにやける男は、ミステリアスな雰囲気を


気取っているにもかかわらず、貧弱そうだ。


一言であらわすと……《もやし》


色も形もそっくりだ。


『君は誰だ。相変わらず……という所、面識があるようだが』


「手をだしてごらん」


回答になってない、と言おうとしたが、


この状況では、自分が不利だ。


男の指示通り、右手だけを差し出した。


__チャリン。


『鍵?』


僕の手のひらに、鍵が落とされた。


「それは以前の君の私物だ。6月12日。約束は守るよ」


『何意味のわからない事を言っ……__』


視界がグニャリと歪む。


次に目が覚めたのは、自室の布団の上だった。


カーテンから覗く朝日を浴びながら、昨夜の夢を思い出していた。

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〜あとがき〜
記念すべき第1話!。
連載ラヴィノーツとつながっているお話です!
次回からもよろしくお願いしますね!

〜まゆら〜



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