【夕姫様 リクエスト ペーター/甘】

『愛をあなたに』

先刻、帽子屋屋敷へと招かれたお茶会に出席した。



その際、いつもどおりににんじんケーキの押し付け合いがはじまった。



『いいわよ。あなたの好物を取る気はないわ。うんと食べて頂戴』



そう真顔で言った。



「アリス!やっぱり良い奴だな!」



「当たり前だろ。ウサギのくせしてお姉さんに触るなよ!」



「そうだよ。バカウサギのくせに!」



双子の問題発言から、また喧嘩がはじまった。



『飽きないわね。学習能力の低さを疑うわ』



「紅茶がうまい……」



ため息を吐く。



ブラッドはブラッドで紅茶の世界にお花畑を夢見ているし、部下たちは通常運転で元気の無駄遣い。



そろそろ止めようかと、立ち上がったときだ。



パァン!



『んっつ……』



「お姉さん!」



「大丈夫!?」



「アリス!?」



『大丈夫よ。掠っただけみたい』



安心させるために笑顔を繕う。



幸い、撃たれたのは右の足首だ。顔や胸でなくて本当によかった。



その後、ペーターが迎えに飛んできたが(尋常な速さで)双子たちとエリオットは居なかった。



ハートの城へ戻った途端、ペーターは仕事を数分で片付けたとメイドにきいた。



「ホワイト卿はアリスさんの為ならなんでもやりますよ」



そう恥ずかしい台詞と淡々と、にやけながら言うメイドには困ったものだ。



(嬉しい…んだけどな)



ありがとうと素直にいえない自分に腹が立つ。



どうしたものかと、グレイに相談するため、クローバーの塔へと向かった。



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『……という訳なんだけど』



一通りの状況は説明した。



だが、グレイの様子が少しおかしい。


「一人できたのか!?その足で!女の子が無理をするものじゃない!あのクソツインズ…ブツブツ」



『もしもーし…?』



そこではっと我に返るグレイ。



「ああ、すまない。だが、どんな不器用な言葉でもあいつには伝わると思うぞ。焦ることは無いよ」



(不器用とはしつれいな……)←すでに素直じゃない^^:



『そういわれて心強いわ。相談に乗ってくれてありがとう』



「どういたしまして。今日はもう遅い。夜に出歩かせるわけにはいかないからな。客室を使うと良い」



うーんと考える。



下手に出歩いて、どっかの迷子に捕まるのはいやだし…



お言葉に甘えさせてもらおうというその時。



「その必要はありません。アリスは今すぐ、僕と城へ帰るんです」



突然居るはずのない男があらわれた。



「もともと外出させた手抜きの警備が悪いんじゃないのか?」



じじじじ…と二人の険悪なムードになってゆく。



相談に乗ってもらったのにこれ以上、迷惑はかけられない。



『ペーター。早く帰りましょう。手間をかけて悪いわね。グレイ。ありがとう』



そういって無理やり腕を引っ張って歩く。



戸惑いながらも素直に従うペーターは、耳がたれていた。



その後、すぐさまペーターに休むよう指示された。



『ねぇ、せめて仕事はさせてよ。アイロンがけとかならできるわ』



それに、はやく完治させて、双子たちに元気な姿をみせなければ。



「わかりました。簡単な仕事を用意しておきます。この時間帯はちゃんと休んでおいて
くださいね」



そう微笑んで退室しようとするペーター。



その時。



ベッドに座ったまま、ペーターの服の裾をつかんでしまった。



「アリス?」



『なっなんでもないの。ただ…』



なかなかいえない言葉に、ペーターは待っていてくれる。



『あ、ありがとう』



顔は多少俯いているが、いうことはいえた。



そのことで、だいぶ気持ちがかるくなる。



『わっ。ぺーター!?』



いきなりペーターが抱きついてくる。



もちろんベッドに座っていた状態なので、押し倒される形になった。



「アリス」



いつもより落ち着いた声で名前をよばれ、ぴくりと反応する。



「あなたがいつも僕にくれる感情は、数えることができないほどです。それほどのもの
をあなたからもらっているのに、僕はなにも返せていない」



ペーターは真顔だ。



けれど・・・いつもお世話になっているのは私のほう。



『そんなことないわ。いつもいつもあなたはそばに居てくれる。感謝しているのよ』



「アリス……」



抱きしめられる力が増す。しかし、力加減をしておりとても心地の良いものだ。



『ん…』



あたたかなキスが落ちてくる。



それに答えようと、私も腕をまわした。



少しばかり驚いた様子のペーターだったが、やさしく大きな体で包んでくれた。



いつもいつも、本当にありがとう。


エンド

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〜あとがき〜

反省してます。もうぐだぐだでごめんなさい…
意外にペーターで甘ってむずかしいです><
こんな夢でよければ見ていってください!!
夕姫様!リクエストありがとうございました!
かくのたのしかったです^^

〜siki〜

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