なんでだろ。翔クンといるとどんなつらいことも悲しいことも乗り越えられる。翔クンが嬉しかったらその嬉しさが倍になる。いつしかなくてはならない存在になっていたのかもしれない。
『グスッ…』
ひょんなことから喧嘩をしてしまった私達。理由なんてちっぽけなことだったのに。パートナーで毎日嫌だってほど顔をあわせてた。実際に嫌だなんて思ったことはないけど。それがパタリとなくなってしまうとほんとに悲しいと現実を突き付けられる。
『うっ…グスッ…翔クン…』
呼んだって来るはずがない。
「はあ…ったく、しゃーねーなあ」
『えっ…』
来るはずないっておもってたのに、なんで…
「なんで?って顔してんじゃねーよ」
顔にでてたんだろうか、翔クンがため息まじりに私に話しかける。これは夢じゃないのかな。しばらく話してない翔クンがこんなに近くにいる。そう思うだけで涙腺が緩む。
「うわわわっ!!!泣くな!なっ!?」
泣いてる私に動揺する翔クン。なっ!?といって顔を除き込んでくる姿は可愛くて仕方なかった。
『う…んっ』
私が少し落ち着くと、ふわりと翔クンに包まれた。
『翔…く…ん?』
「ずっと、…こうしたかった…。お前とここ何日か口聞いてなくてすっげーなんかこー心が痛くなったってゆうか…なんてゆうか…」
語尾が最後のほうがきこえなくなっていく。多分翔クンのことだから伝えたいことが上手くまとまらないんだろう。
『私もずっと翔クンと話したりぎゅってしたかったよ。』
「それだったら、そうって早く言えよな…一人で泣いてんじゃねーよ」
『クスッ、ごめんね。でもなんで私が泣いてるってわかったの?』
「はあ!?お前俺を誰だと思ってんだよ!!来栖翔様だぞく・る・す・しょ・う!!」
そう二回名前を告げる翔クンはほんとにかわいかった。
「おまえ…いま俺をかわいいとかおもっただろ…」
声のトーンがさがる。
『思ってないよ!!ちゃーんとかっこいいっておもってるよ!!翔クン王子っ』
「おまえ…馬鹿にするなああああああ!!」
何日かぶりの翔クンとの会話。やっぱり私のパートナーは翔クンしかいないね。