幾年の夏の光を受けたとて框に褪せぬ君の横顔
ソーダ水胸に注いで朝を待ち弾けるまでは僕でありたい
糸を断つ鋏の背中きみへ当て「まあだだよ」の声こぼすのを待つ
菫には菫の永久があるように貴方と私のそれは別物
足跡はインクブルーの逃げ水で歩く限りは乾かない夜
卵から表本箱で育てられ翠の鳥は剥製になる
春を待つ君の背中に腰をかけ山びこをする朝のお仕事
白線の向こう側へは呼びません麦わら帽子何度飛んでも
色のない無口なシャツに身を包み手押し車に夏を詰め込む
一期雨こんなに早く上がるなら貴方を浴びておけばよかった
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