盲目の旅を続けし語り部の耳に咲きたる紫の花
丸口の瓶に落ちては身を寄せて天道虫は花となりけり
カーテンを体に巻いて月へ降り手紙に変えて君へ帰らす
透明の水をいっぱい筆先に含ませ夜を溶かすままごと
またとない嘘をついてもまた出逢い仕方のないのを運命と呼ぶ
初詣こんなに人が溢れたらばれないかもね神様いても
蝶々を胸に隠して交差点こっちの蜜は甘いと言って
くちなしの貴方を抱けば覗き込む瞳の奥に雄しべの黄色
愛したらそれが敗けです永遠に追いかけるには命が短い
我が胸の薊の丘に降る雨の滴一つに凛と棲みゆく
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