静かに立っていると足元に寄ってくるもの。鳥、木の葉、風、影、花びら、夜。球となってつま先を囲む、群青の夜に。僕はいつも決まって、やあ、と挨拶をする。
 夜、きみを通り抜ける。夜、きみを踏み越えてゆく。夜、きみを行き過ぎていく僕を、今日はどんな目で見るのだろう。
 青白い片目を開けて、夜は、やあ、とだけ言った。つま先にわだかまる、きみを蹴り上げる。無数のホシが散らばる。羽ばたいた鳥の羽の、柔らかな点のように。結びついて白む。やがて光を放つ。きみが目を細める。いいじゃないか、と笑う。
 その日、朝ができた。




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