エコーする貴方という生命について絶えず思うことはただひとつ、最後の日まで幸せでいてほしいということだけなのである。その幸福に私は関係ない。必要な部品であるときとそうでないときとあるだろう。だからできるだけ、近くで、手を触れずに目を向けずに、その存在の放つ不規則な波動を感じ取っていたいと願う。貴方の放つ音が震えるときだけ、初めからそこにあったように手を差し出したい。
「ばかだね」
「うん」
「本物だよ」
呆れたように笑った人を見て、そうだよねえと笑いながら私は心の奥で繰り返される自分の声無き声に侵食されていくのだ。エコーする貴方という生命について絶えず思うことはただひとつ、最後の日まで幸せでいてほしいということだけなのである。その声の、眼差しの、呼吸の、鼓動の。すべてのキリキリと響く甲高い命が泣き止むときまで、ああほら、微笑って。貴方のことだよ。




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