千年王子
2014/05/02 03:21
##amz_4309014143#S#
内容はだいぶややこしく、SFと一言でいうには露骨な表現に満ち溢れて、作中のどのシーンを思い起こしてもわりとアブノーマルなものを読んでしまった気のするこちらの小説。
ですが、私はかなり!好きでした。
根底にある物語があくまでとても気の長いものであることと、肉体のもつリアリティーが私たちの感覚とはかけ離れているということ。これさえすんなり受け入れられれば、表面を覆う性の描写も、流れる水のように受け入れられるのではないでしょうか。このお話の体というのは、よく言えばとても無垢で美しく、裏を返せばうたかたで味気ない。そんなものに思います。
そこにある見えないものだけが、みな自分だと信じている。自分には自分だと言い切れるものが宿っていて、覆されるのは怖いのです。
声を大にしておすすめ!というには言いづらい話ですが、声を小にして言います。おすすめです。
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