煌夜祭
2014/04/14 02:28
##amz_4122057957#S#
時々、読み終わったあとにその物語が好きすぎて、何日もそれのことばかり考えてしまい、「自分は一生、この物語のことをぼんやりと思い返すばかりで何も手につかなくなってしまったらどうしよう」と思う物語がありませんか?
「煌夜祭」は私にとって、まさしくそれでした。
物語の初歩的な設定として、これは過去の出来事を二人の語り部が語り合う、という状態から始められる物語です。しかし、読んでいる間にその最も初歩的なはずの「すべて、過ぎたこと」という部分を最も忘れて、引き摺られるように思いを持っていかれました。
時に我が身を裂かれるようにも、時に我が身を抱きしめられるようにも感じられ、喜びも悲しみも痛いほどに鮮やかで、とにかく引き込まれる一冊です。読後の長い時間を経てようやく辿り着けたような、ああ、と息をつくような感覚も印象に残りました。
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