夜の写本師
2013/08/27 13:10
##amz_4488024726#S#
一人の魔道師が支配する世界に生まれ、その魔道師によって居場所を奪われた少年の、長いときを賭した復讐の物語。始まって四行で引き込まれた方は、きっと好きになるのではないでしょうか。
色彩と痛みの表現が豊かで、その分、残酷なシーンがごまかされていないようには感じられましたが、残酷さを見るための物語ではないと思いますので、あまり悪い印象は受けませんでした。残酷な場面の裏側に通っている人々の思惑や願いが、この物語流に言えば、「七色に淀みながら流れ、溶け合って」でもいるということではないでしょうか。人を突き動かすものは、いつも体ではなく、心です。
滑らかな石の表面を撫でるようなこの物語の最後を、ぜひ誰かにも知ってほしいと思える、そんな一冊でした。
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