※恋は曲者会話文
――――――――――――



「なぁ、相模」

「なんだ?大和」

「お前ら演劇部ってたまによくわかんないこと言うよな」

「…よくわかんないこと?」

「あぁ」

「別に変なことは言ってねーけど?つか、具体的にどんなんだよ?」

「ほら、例えばあれだ。『ぶたかん』」

「………」

「え、なんで無言?」

「大和って馬鹿?」

「えっ!?なんで罵倒!?」

「『ぶたかん』の意味も貴様はわからんのかぁぁぁあぁああ!?」

「えぇ!?なんで怒号!?」

「バリエーション豊かにツッコんでくんな!!」

「あ、ごめん」

「まぁ、許してやるよ。俺は器の大きい男だからな!」

「………」

「…文句あんのかぁ!?」

「ないない。ないです相模様」

「ならさっさとそう言えばよかっただろ。お前やっぱ馬鹿だろ。バ会長だろ」

「……もう、どっちでもいい」

「あー、そういや大和が聞きたいのは、『ぶたかん』の意味だっけか?」

「あ、うん、そう」

「意味は簡単だぞ。『舞台監督』の略!」

「…おぉ、たしかに」

「他にも『ぶかん』って言う奴もいるけどな。うちの演劇部は『ぶたかん』って言ってる」

「へぇ…、じゃあ『エプロン』は?」

「お前それもわかんねーの?常識知らずだな!」

「いや、それ常識か?」

「常識だっつーの!いいか!?『エプロン』って言うのは緞帳下ろした時、舞台の前部分にある隙間のことだよ!あるだろ!?どの舞台にも1メートルくらいは!!」

「あぁ、あれのことか」

「やっとわかったのかよ!大和は会長のくせに本当馬鹿だなぁ!!」

「………。あ、じゃあ『ステファニー』は?」

「『ステファニー』?」

「役の名前かと思ったんだけど…、お前らの会話聞いてたら違うみたいだし」

「あぁ、あれは『捨て釘入れ』のこと」

「『捨て釘』?」

「曲がったりして使えそうにない釘。それを入れとくのが『捨て釘入れ』!」

「そんなもんあるのか」

「あ!でも『ステファニー』呼びはうちの演劇部だけだぞ、多分」

「なんでだ?」

「名付け親が俺だから!」

「……は?」

「『捨て釘入れ』持って来い!とか、一々長くて呼び辛かったから俺が直々に名前をつけてやったんだ!」

「………相模」

「なんだよ?」

「『捨て釘入れ』は、6文字。『ステファニー』は小さい『あ』を入れると計何文字かわかるか?」

「馬鹿にしてんのか?そんなのろ…く……」

「………」

「………」

「『ステファニー』も、6文字だ」

「………」

「………」

「………や」

「や?」

「大和のばぁぁぁあぁああか!!」(逃走)

「えぇぇええ!?泣いた!?お前泣いた!?……ちょっと、相模ぃぃいい!?」(追い掛ける)




END

 

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