おだい | ナノ

君の夢を見すぎて眠れない!!


亡者が判決を聞き逃げ出すことは多々ある。
屈強な獄卒をつけていてもあるのだから、歩くときは気をつけなければいけない。

「待て!」
「待てと言われて待つ奴はいねえ!」
前方から物凄く逃げ足の早い亡者が走ってくるのが見えて、どっちに交わそうかと思っているともう目前まで来ていた。
そしてその亡者は私を見て、ニヤリと笑う。
多分女だから捕まえて人質にとか思ってるんだろうなと思い、着物の一部をちょっと摘んだ。

「そこの女、命が惜しかったら動くな」
がばあと手を開いてホールドしようと走り寄ってきたところをしゃがんで躱し、すかっと空を切った亡者が自分を抱きしめるようにしながらつんのめる。

「てい」
そこを着物の裾をちょっと捌いて足払い。
うまく決まって亡者は思い切り顔面を強打しながら転び、私はその背中に膝を揃えて膝から着地した。
ごきりと嫌な音を立てたがまあ気にしない!

「菜々子さん、すみませんありがとうございます」
「はーい、でもこの亡者腰骨折れてるかも」
「そんな些細なことどうでもいいです」
泡を吹いて気絶している亡者を漸く追いついた獄卒に引き渡し、にっこり笑って立ち上がる。
するとそれよりワンテンポ遅れた鬼灯様が走り寄って来て、私の着物の裾をガバっと開いた。

「ぎゃー!!なにするんですか!」
開いた格好で固まる鬼灯様と、それを見て硬直する極卒達。
鬼灯様の手を払い裾を直し、真っ赤になった頬を隠しきれず鬼灯様を睨み上げた。

「菜々子さん、なんでカラータイツはいているんですか!」
「私の勝手でしょう!!」
足払いするところを見られていたのだろう、ちらっと覗いたタイツになにを思ったのか。
物凄くショックを受けた顔でこちらを恨みがましく見つめる鬼灯様に、私は地団駄を踏みたくなった。

「ちらりと見えるナマ脹脛を期待していたのに、裏切られました…」
「期待しないでください!」
しょんぼりと肩を落とす鬼灯様に私はもう!と言葉を投げつけて踵を返してパタパタと走り去った。



「責任とってください」
「は?」
あれから随分と日が経って、忘れかけていた頃に鬼灯様がやってきてそびえ立つ横壁にばん、と手をつきヒビを入れている。
何事かと首を傾げつつこの壁誰が直すのだろうと考えていると、鬼灯様はまた裾を捲ろうとしてきたので手を払いのけた。

「あれから菜々子さんの脹脛が見られなかった無念が晴らせず、貴方の夢を見すぎて眠れない!!」
夢でも見えそうになると覚めるかタイツかどっちかなんですよ、と地団駄を踏む鬼灯様に私は呆気に取られてしまった。

「見せなさい」
「嫌です、なんでですか」
じりじりと近寄る鬼灯様にジリジリと後ずさる私。
捲ろうとしてくる手をはたき落とし、凶悪な顔で迫り来るのを見ないふりをして。

「菜々子さん、観念なさい」
「嫌です、今日もタイツですし!」
「…破ってでも見せていただきますよ」
「へ、変態!セクハラ!」
怪しい手つきでどんどん迫り来るのを必死で逃げて。

「あっ、いいところに!私のために犠牲になってください!!」
「あ、菜々子ちゃ…え?うわっ、投げないでぎゃああああ!」
「邪魔です大王、退きなさい!」
「ぎゃー!鬼灯くんはもっと酷いイイイ!!」

たまたま歩いていた閻魔大王を盾にして、私は必死に逃げまくったのだった。
(「私を眠らせない気ですか」「勝手に寝てください」「じゃあ脹脛を!太モモもお待ちしています」「花街にでもいって来たらいいじゃないですか」「そこに菜々子さんはいないじゃないですか!」「知りません!」「…分かりました。私ばかり欲するのはダメですね、では見せ合いっこしましょう」「しません!」「乳尻太モモ前後余すところ無く全て見せます」「お断りします!」)
おわり
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足を細く見せるタイツを買いましたが、きつくて履けませんでした(´・ω・`)
鬼灯様にタイツを履かせて全力でエガチャンをやってもらいたいような。
いややっぱり破って楽しみたい。


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