A warm meal with you(温かな食事をあなたと)







この寒さを封じてくれるのは、傍に居るあなた。






「……寒っ……」

じわじわと日が落ちて行くと共に、気温も落ちて行く。一人佇む切原の、身も心も凍てつかせていた。
それほど長い時間を、此処で過ごしていた訳では無いけれど、日の落ちるが刹那、体温も急速に奪われて行く。
身に纏うは、制服とマフラーのみ。
切原は、なるべく肌を風に曝すまいと、首に巻いたマフラーを口元まで引き上げ、吐く息の白さを隠してしまう。両の手は、ポケットに突っ込んざ寒さを凌いだ。

「早く来ねぇかなぁ……」

部室の扉が見えそうで見えない場所に隠れ、中の明かりが消えるのを待つ。
この寒空の中、風邪でも引けば自分自身も困るだろうに、それでも切原は此処で佇んでいた。

「き、来たっ!!」

そしてまた、身体を揺すり足元を摩りながら待ちつづけていると、部室の明かりが消え、扉が開く音と話し声が聞こえてきた。

「では、鍵を返してくる。先に帰っていてくれ」

「一緒に帰ろうよ、柳」

「……幸村、当てつけられる確率が100パーセントだと判っていて、一緒に帰ると思うか?」

「そんな事しないよ、ね、真田」

「この時点で俺は、当てつけられているのだが……」

口の達者でない真田は、二人のやり取りにオロオロとするばかりでいた。その様子に吹き出した柳は、二人の背中を押し、寒いから早く帰れと言う。

――――じゃ、また明日。

そう幸村に声を掛けられ手を振られた柳は、軽く手を挙げて応えた後、職員室へと向かった。



**



「待っていたのか?」

「お疲れ様ッス」

職員室から出て来た柳が見付けたのは、身を小さくして寒さを耐えていた切原だった。

「部室で待っていれば、良かったのに」

「嫌ッスよ……あんな化け物二人、相手にしたらボコボコにされそうッスから」
口が達者な幸村と、手が達者な真田を心底、嫌だと言う切原に『それもそうだ』と柳は笑った。そして、切原の癖強い髪へ、抱き込む様に指を差し込んだ途端、余りの冷たさに絶句する。

「随分と待たせて悪かった、赤也。何か暖かいものでも食べて帰ろう」

もちろん奢りだと付け加えてやると、寒さなんて何処へやら。切原は、口元を覆っていたマフラーを引きはがし、満面の笑みを答えとして返すのだった。





A warm meal with you(温かな食事をあなたと)
20101209






私の心境(笑)
めっちゃ寒くてラーメン食べたかったんッスよ…すみません!!
思ったら、帰宅中の車内でガリガリ…小1時間で作成した物体です。
最近、82で煮詰まっていたので、気分転換もさせて頂きました。




多分、いつもの乙女モード赤也ではない赤也で書けたかな?と思います。
でも、外で待ってる辺りで…乙女かな。汗。


柳と一緒に帰れれば、それだけで良いと思っていたのに、おまけにご飯まで奢って貰えて幸せ〜な赤也くんでした。
柳は…奢ったからとて、返せとは言いませんよ(笑)

赤也、独り占めしてるんだから♪





駄文ではありましたが、お付き合い頂きありがとうございました!!



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