Pleasure that is both(共にある喜び)








君の大好きなものと、君が大好きな人と。
僕が大好きなものと、僕が大好きな人と。


共に在ることの……幸せ。





人を誘っておいて遅刻するとは、ブン太らしい。
ジャッカルは、呼び出された待ち合わせ場所に佇み、そう呟いた。
秋暮れ行く青空へ、ぽっかり浮かんでいる羊雲を数えながら、まだ来ない待ち人を待つ。
家が近所なのだから一緒に行けば良いものを、何故かそれをブン太は却下した。

「こんな事になるんだったら、家から待ち合わせすりゃ良かったのに……」

待てども、待てども、待ち人来たらず。
ジャッカルは、このまま待ち続けていたら日が傾いてしまうと思い、ブン太の家へと電話を入れる。
携帯にすれば直接話が出来るものを、虫の知らせか自宅の方へと連絡をした。

『ジャッカルにぃちゃん?』

「おお。 ブン太……家にいるか?」

『うん! 部屋で寝てるよ!!』

────は?!

呼び出した張本人が、何故、家で寝ている?!
電話に出てくれたブン太の弟に、これから家に行く旨を伝えながらジャッカルの足は走り出していた。



**



ブン太の家へと辿り着いたジャッカルが呼び鈴を鳴らそうとした時、玄関扉が勢い良く開き、同じ勢いで赤い髪をしたブン太が飛び出してきた。

「何で、起こさねぇんだよっ!!」
「だって……あ、ジャッカルにぃちゃん!!」

「よぉ、起きてたか」

寝起きを象徴している荒れ放題の髪に、皺の寄ってしまったシャツでボロボロになっているブン太は、両手をジーンズのポケットに突っ込み外壁にもたれ掛かっているジャッカルへ両手を合わせて謝る。
呼び出しておいての失態に、かなり反省している彼は、平謝りで許しを請う。
普段ならば、もっと軽く……それこそ反省の色もそこそこに謝るのだが、今日に限っては涙目になっていた。

「そんなに謝らなくても……」

「でもよっ!! 俺から呼び出したのにさ……寝坊しちまったし……」

「まぁ良いじゃん。こうやって会えたんだからさ。で、何処か行くのか?」

ブン太の小さな弟達に懐かれているジャッカルは、最初の勢いを無くして俯いてしまったブン太の、綺麗な紅色した髪をくしゃり、と掻き混ぜて笑いかけた。

「兄ちゃん、出掛けてくっから留守番、頼むぜぃ」

「えーっ!! お母さん居ないのにっ?!」

もうすぐ帰ってくるし、二人だから大丈夫だろうと兄のブン太は、二人の弟を言いくるめる。しかし弟達は、駄々をこねてしまう。
そんな兄弟のやり取りを見ていたジャッカルは、ブン太の肩を抱いて玄関扉を開いた。

「何やってんだよっ!! 出掛けるって行ったろぃ!!」

「チビ達置いてまで出掛ける必要あるのか?」

「だって……だって……今日……は……」

大好きなジャッカルの誕生日だから、二人きりで出掛けたかったのだ――――と。
ブン太は、ボロボロと涙を流す。回りに弟達が居るのだからとジャッカルは、羽織っていたパーカーを、泣き顔を覆い隠す様にブン太の頭から掛けた。

「ずっと一緒に居るんだからよ……誕生日もこれっきりじゃねぇし……」

――――今、ブン太と一緒に居られるだけで十分、祝ってもらってる。
ぐず、と涙をシャツの袖で拭っているブン太の肩を抱いたジャッカルは、彼の弟達と一緒に家の中へ入るのだった。





Pleasure that is both(共にある喜び)
20101124






これ…すみません、続きます。おまけ有ります。汗。

ひとまず、ジャッカル誕生日小話でございます☆
日にち掛かるわ、続くわで申し訳ありません!!

どーも、まだまだ性格掴めてなくて『こんなん、ちゃうわいっ!』て叱られるかも…ですが、目一杯の頑張りです(T_T)
ジャッカル、男前すぎ?ブンちゃん泣くかな?とか模索しましたが…ともあれ、二人で居る事の幸せ!を書いてみました。
チビ達居ますが…はは。

おまけで頑張ります…はい。



ともあれ、ジャッカル誕生日おめでとうです〜
ブンちゃんからプレゼントいっぱい貰ってください☆




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