し君へ、この美しき花を。おまけ。








とん――――と。
降り落ちて来た観月の身体を胸元で受け止めた赤澤は、両手をどこへ持って行けば良いか判らずに、宙を彷徨っていた。
柔らかそうな髪を揺らせて首を下げ、手のひらを赤澤の胸に添えた観月は、小さな子供が眠るように身体を丸める。
すり、と耳と頬を寄せ、身体も隙間なく寄せる。その瞬間、赤澤の鼓動がスピードを上げ、胸元に縋る観月の耳にも届けられた。心地よい響きに甘い息を零し、身体の温度を上げて行く。
パジャマの襟から垣間見える観月の肌は、先程手渡した薔薇の花色と同じ、仄かなピンクを映していた。
視線を下げれば、艶っぽい姿と出くわしてしまう。
いかんともし難いと赤澤は、両手を彷徨わせたまま首を明後日の方向へ、視界かに観月を入れない様にする。
ちら、と視線を上げた観月は、胸の内に居る自分ではなく、顔を真っ赤にして違う方向へ目を泳がせている赤澤に焦れ、先に声を上げた。

「……あ、赤澤」

「……なっ、何だ?!」

「いっ……何時まで狼狽えているんですか!!僕に恥ずかしい思いをさせたままにする気ですかっ!!」

本当に恥ずかしい思いで……
今の今まで観月は、自ら想い人の腕の中へ飛び込むなど考えもしていなかっただけに、間違った事をしたのだろうかと、彼の鼓動の移り変わりを耳にするまで不安だった。
しかし、赤澤の変化と表情を見て安堵するも、その赤澤本人はなかなかと動く事なく、ただ狼狽えるばかりでいた。
厳しい声を上げられた途端に目が覚めたのか赤澤は……折れてしまいそうな観月の身体を、彷徨わせていた両手でしっかりと抱き締めるのだった。






20100527



***




観月誕生日小話、おまけでございますが……
ホントの誕生日です!!
おめでとう、おめでとう観月!!


こんなヘタレな赤澤でゴメン……
でも、でっかいワンコは普段ヘタレてても男前なんだよね……
そんな姿、観月しか知らないよね(笑)


まだまだ初々しい赤澤を披露、でございました(汗)





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