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夢のような恋に溺れるの

「それでね」

嬉々として話続ける友達の話に相槌をうつ。
彼女が話しているのは先週末のデートのこと。
クラスでも美人と評判の彼女が付き合っているのは、バスケ部レギュラーの実渕くん。
なんか、デートというよりは女の子同士で出かけているようなイメージが強いが、とても紳士な彼であるらしい。
たしかに女の子のような口調だし、女の子より肌も髪も綺麗ではあるが、逆に言えばそれは女の子のことをよく知っているということ。
いいなあ、うらやましいと騒ぐ友達に混じって笑顔を浮かべた。
話している友人がとても幸せそうなので、私はそれで充分。
実渕くんに彼女を取られてしまった悔しさは若干残るが、彼氏なのだからしょうがない。

「で、次のデートは?」

「うん、二週間後のオフの日に一緒にお買い物いくんだー」

彼女がそういうと、いいなぁの合唱。
彼氏がいる子は私達六人組のにもいるけれど、遠距離だったり、喧嘩中だったり。
私はその中でも最低の彼氏歴=年齢。
みんな彼氏なんてすぐできると言うけれど、私には美貌や取り柄がないから無理だ。
それよりも恋愛に憧れるほうがいい。
例えば好きな漫画のかっこいい男の子との恋愛を想像したり、恋愛ものの漫画を沢山読んでみたり。
あとはこうやって友達の惚気話を聞いたり。
今はそれで充分なの。

きっと、大学生になったら…!!

そう、昨日まで私はそう思っていた。

「苗字先輩」

なのに、何故私は生徒会室でこの学校の天才生徒会長に壁ドンをされているのだろうか?
色違いの瞳が私を射抜く。

「え、あのっ…」

ドキドキと心臓が鼓動を訴える。
それはもう全力疾走した後みたいに…

「僕は先輩が好きです。付き合って貰えますか?」

今まで彼に告白して玉砕した人の噂を沢山聞いた。
いや、成功したという噂は全く聞いたことがない。
これはドッキリや罰ゲームなのか、とも考えたけれど違う。
そもそも赤司君はドッキリや罰ゲームで告白するような人ではないし、後者の罰ゲームは絶対あり得ない。
だって彼は勝利しか知らないのだから…

「え、でも、なんで私、なんですか?」

そう、私と彼には接点というものが全くないのだ。
手話部の私と男子バスケ部の彼。
しかも彼は容姿端麗かつなんでもこなす天才。
ついでにバスケではキセキの世代のキャプテンらしい。
一方私は普通でしかない。
勉強も容姿もスポーツも音楽も、何一つ優れたところはないのに…

「先輩、前部活に差し入れ持ってきて下さいましたよね?」

「え、はい。葉山くんと根武谷くんに頼まれて」

「その時からだ」

「へっ?」

「あの差し入れ、とても美味しくて、今度会ったらお礼を言おうと思っていました。そしたら、段々先輩のことを目で追うようになっていた。」

へっ、うそ、だよね?
こんなの、本当、少女漫画みたい。
いつも読んでる夢小説みたい。

「そして、気付いたら好きになっていた」

こんな夢みたいなこと、あっていいのかな?

「こんな強引なことをして申し訳ないと思っています。苗字名前先輩、僕とお付き合いして貰えますか?」

心なしか、彼の頬が少し赤い。
あれ、なんだろう。
このドキドキと胸の奥がキュって苦しくなるこの感覚。
ああ、そうか。
今まで擬似的にしか体験したことなかったけど、これはきっと…


恋、なんだ。


「私、容姿も普通で、勉強も、スポーツも音楽も美術も、お世辞にもできるとは言えないです。」

「でも、先輩は優しい心の持ち主だ。知ってますよ、捨てられた猫を学校で飼っているでしょう?」

「え、なんでそれを…」

「この前たまたま先輩が餌やりをしているのを見かけましたから。」

なんか、とても恥ずかしい。

「容姿もスポーツも音楽も勉強も、関係ない。先輩の魅力はそんなものじゃない」

優しい声音が頭の中で反響する。

「先輩、僕とお付き合いして貰えますか?」

差し出された手を取らない選択肢なんてない。

「不束者ですが、よろしくお願いします。」

私が頭を下げると、こちらこそ、と言う優しい声にキュッと胸の奥が締め付けられた。





夢のような恋に溺れるの


だけど夢じゃない、私を抱きしめるこの細身で逞しい腕も、洋服越しに伝わる体温も。
全部全部、本当の彼のもの。





BGMヤキモチの答え

リア友誕プレ第一弾。

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