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私の彼は吃驚するぐらい私と釣り合わない。私は平々凡々すぎる見た目に成績。それでもあの洛山高校での真ん中だから、両親は確かに喜んでくれている。
部活だって微妙。
地区大会は突破できるけど、結局は府大会止まり。彼みたいに全国大会優勝なんて夢のまた夢だ。
それなのに、彼は私を副会長に選び、さらには彼女の座にすえたのだ。これが、私に学校のミスコンで優勝するくらいの美貌があれば良かったのだが、先ほども述べた通り、私はただのしがない女子高生である。彼に言えない不満は男女問わず私にぶつけられることとなった。と、同時に要望もだ。まるで平安時代に下級貴族の娘が天皇家に輿入れしたようなもの。例えば部活の予算が少なすぎるだとか、多くしてほしいだとか。風紀チェックを見逃して貰える様に頼んで欲しいとか。あとはなんであなたが彼女なの?私の方が相応しいとか。
最後の質問を除いては私だってできることなら協力してあげたい。けれど、彼らは大事なことを忘れている。

あくまでも、私は彼に据えられた存在であるということだ。

彼は私がお人好しであることも、頼みを断れないことも分かっているだろう。だが同時に私が彼に逆らえないこともお見通しであるはずた。意見できないことも…

そうなると私が優先するのは当然彼の方。つまり、頼みごとは本当に必要なこと(美術室にカーテンをつけてほしい、グラウンドの土を入れ替えてほしい)などの要望を除いては全て彼に伝えられていない。本当に申し訳ない限りだけれど…

そんな私だけど、先生からの心象はそんなに悪くないはずだ。先生から言われたことは忠実に守っているつもりだし、テストもそこそこ。委員会だって真面目に出席している。それゆえか、今日の日本史の授業の先生はしょっちゅう私を呼び出しては荷物を運ばせる。ちょっと変な目で見られているような気もしなくないが、先生に限って、と何もないことにしている。今日も例外ではなく、渡された日本地図とプリントをこうして運んでいる。

に、してもこの性格はなんとかならないものかとため息をついた。本当は嫌だと言いたい時に言えないこの性格は、自分の長所であり欠点でもあると思うのだが、どちらかと言えば欠点よりだ。昔はそのせいでよく余り物のジュースやスカートの色になって泣いたが、もうこの歳になると諦めもつく。それでも本音を言えば直したいものだ。

「はあ」

ひとつため息をこぼす。赤司くん、なんで私を彼女にしてくれたのかな。とりあえずそれが不思議でならない。洛山高校七不思議の一つに加えられそうな勢いだ。確かに、私と彼とは釣り合わない。体育委員会で、一番体育館を使う彼とはよく会話をしていたけれど、気がつけば告白されてこうなっていた。告白されたのも、体育倉庫とか校舎の裏庭とか教室とか、そんな学生特有のものではなくいつもよくしてくれるからお礼に、と連れて行かれたフレンチ料理店だった。その時点で親の経済力に格が違いすぎる。私なんて月に3000円のお小遣いでやりくりしているのに、その料理店のフルコースはネットでしらべたら一人一万越えかつ奉仕料さえとられるとのこと。本気で焦って、次の日やっぱり半額は出すと言ったのだけれど聞き入れてもらえなかった。毎日一緒に行き帰りはするけれど、実際私はただ便利な女よけではないだろうか?
だとしたら…

「ちょっと辛いなあ…」

そんな言葉が口から漏れていて、慌てて口を抑えようとしたら日本地図が落ちてしまった。


「苗字」

なんとか昼休みギリギリに自分のクラスの教壇に頼まれたものを運び終えると、赤司くんが私に声をかけてきた。教室中がしん、と水を打ったように静かになるのは彼がこのクラス、いやこの学校で唯一無二の存在だから。

「なあに、赤司くん。」

「探したよ、どこへ行っていたんだい?」

赤と金の目が私を射抜く。それはいつにも増して、鋭い。

「えっと、次日本史だったから、頼まれてたプリントと日本地図取りに、社会科準備室に行ってて…」

社会科準備室と言った途端、ピクリと赤司くんの眉が動いた気がした。形の良い目が鋭く細められて、私は蛇に睨まれたカエル状態になってしまう。これがバスケで培われた力なのだろうか。地区大会など赤司くんの視線だけで相手は腰を抜かしてしまうのではと、本気で思った。

キーン、コーン、カーン、コーン…

チャイムがなって日本史の先生が教室のドアを開けた。
その音で我に帰った私は自席に戻ろうと踵を返した。

その瞬間くんっと彼に左手を引っ張られ、振り返ると更に腕を引かれ彼の方へ引き寄せられた。あ、と思った時には時遅し。



私と彼の唇は重なっていた。








愛して、愛がゆえ



「いいか、苗字名前は僕の彼女だ。手を出した者、変なことを言う者、言いよる者はこの学校にいられなくしてやろう。たとえ、それが教師であっても容赦はしない。」

普段より幾分低い声が頭の上で聞こえる。150cm台の身長の私はその言葉を彼の腕の中で夢見心地で聞いていた。
台詞は割と物騒だったけれど…



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ふゆき様

この度は拙宅の企画リクエストに参加していただき、誠にありがとうございます!
やっぱり赤司様は絶対先生の前でも情熱的なキスをしてくれる!先生にでもオヤコロのテンションだ!と信じた結果、こうなってしまいました… 私が想像したより嫉妬深い赤司様が書けて楽しかったです!赤司様は思いっきり嫉妬深いか、極端に淡白かのどちらかだとわたしは信じています!

何か不具合や気に入らない箇所がございましたら、直しますのでご連絡ください。
この度は本当にありがとうございました!
今後とも当サイトをご訪問いただければと思います。本当にありがとうございました!






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