キィン____





ぶつかって、ぶつかって、ひたすらに。

鉄の味がする…どうやら歯を食いしばり過ぎた。重い一撃を受け流し、刀をそこへ斬り込む。



「…ハァッ、ハァ……、」



一人一人が強いわけではないけど、この数はこの島に来た海兵の倍以上はいるだろう。
…考えてる暇はない。ひたすらに、瀕死にしていこう。そして、できれば…、いや、考えてる暇はないんだった。何も考えるな。そうすれば、きっと、この重い体も気にならない。

次々と向かってくる海賊は本当なんなんだ。海軍なんて相手せずに海に出て行った方がいいだろうに。波のようにくる海賊をとにかく一人一人刀で斬っていく。目はずっと相手の足に向けてたが、ふと集中をきらして正面からくる海賊の顔をみた。そこでやっと気付いた。





「このォッ…!!」

「……」





彼らは怒っているのだ。私が彼らの仲間を傷つけたから。それすらも気づかないくらいに集中してしまっていた。当たり前の事に何故か動揺し反応が遅れた。太腿に痛みがはしった。その瞬間を犠牲にして目の前のヤツの脇腹に刀を振るう。地面に血が流れた。



「おい、そこの海兵!東側に応戦に行け!」

「…はいっ」






足を踏み出す度に血がどくどくと流れる。そこまで切れてない筈だけど、結構痛い。だが走って向かわなければいけない。

刀を鞘に納めて東へ走る。時々襲いかかってくる海賊を面倒だと思い無視して避けるだけにする。


海賊は少しずつ少しずつ減っていく。

町の人は歓声を上げる。



こんな私が生きているだけで
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