ガープさんのスパルタだった練習は一旦休憩時間になり、地面にへばっているヘルメッポに声をかけた。



「おつかれさま。相変わらず体力ないんだね」

「…ウッセェ……暇なら水寄越せ…」



そういうと思った、と水の入ったボトルを投げれば顔面でキャッチしたヘルメッポ。思わずあっ、と声がでた。



「おいこらテメェ」

「わざとじゃないって、ごめんごめん」

「ったく」

「……ぁ、」

「 あ?」



なんだよと問われ、指をさす。
するとヘルメッポはなんだコビーか、という。ガープ中将のところで何やら指導してもらっていた。刀を握りながらガープ中将の話を聞いている。



「相変わらずだな」

「……」

「…どうした?」



どうしたら、ああなれるのかな。
そう視線をコビーのままにして言えば、隣からため息が聞こえた。するといつもは適当に返してくるはずのヘルメッポが、あいつ前言ってたぞ。というものだから勢いよく顔ごとヘルメッポに向く。



「自分らしさだとよ」

「……ちょっとよくわかんない」



自分らしさ。…自分らしさ?そう悩んでいるとガープ中将の休憩終了の声が聞こえた。考えるのはまた後でにしよう。
急いで自分の水を口にいれた。







鍛錬がおわればお昼、食べ終わればすぐに仕事に取り掛かる。
淡々と書類整理をしている部屋で会話が飛び交っていた。私を挟んで会話はやめてほしい。そうなればその話題は私にも飛んでくるのはもう必然だ。


「海賊どもはいいな〜奪いたいもん奪って人ころして仕事ないとか」
「じゃあ海賊になれよ」
「あ〜無理無理。秘宝だかなんだかで人生無駄にしたくねぇし」
「俺たちの仕事増やすなってのなあ。大将達が海賊狩りにいって皆殺しにしてこねぇかなぁ」

「なぁ、そう思わね?」



ああ、ほらきた。なんて。ため息をつきたい。そんな事考えてる暇あるなら無言で仕事をしてほしい。…いや、仕事しなくていいからその下らない会話と思考を無くしてほしい。
こんな人がいるからいつまでたっても平和は訪れない。仕事をなくしたいなら手を取り合ってからだ。皆んなプライドなんて捨てて、仲良しこよしすればいいのでは?
とは、言えない。ああ、こんな思考も、下らない。




「…そうだね。」




こんな私も、この人たちと同類だ。人のことなんていえない。

どんどん黒い淀みが広がっていく気がした。いつか、それに溺れてしまうのだろう。そして奥底まで沈んで、誰にも見つからずに全て終えるのだろう。

ああ、私らしくありたいのに。
「私らしいひと」になりたいな
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