私が今、思い付いく勝つ方法はひとつだけだった。
船を沈める事。

世界一の大剣豪でもない私。船や軍艦を一瞬で斬ることはできない。だから、地道に、油と火を放つ。


船の上で、炎が上へと燃え上がってゆく。


あつい、いたい、あつい、くるしい。
海賊が喚きながら海へと逃げていく。泣いていた。そりゃそうだろう。大事な大事な海賊の家が轟々と燃えているのだから。
謝れるレベルではないだろう。

どちらかの味方をすれば、もう片方は敵になってしまうのは…ずっと、わかっていた。
海賊と海軍が仲良く…なんて願っていた私は今、最悪なヤツだ。




「…ぁ、っ…ぃ……」




赤い火が周りを埋め尽くす中、また甲板へとたどり着いた。汗が目にしみる。手すりに寄りかかって下の海を見れば、叫び声が聞こえた。



「かぁっ、!海王類だッ…!!」

「ウァ"ァァァァア"ア"ア"!!!」




まるで、地獄だ。

私はきっとこれから、こんな所へ行くんだろう。嗚呼、でもインペルダウンよりは優しいのかな、とかぼんやりとした頭で赤く染まっている海を見れば遠くに、軍艦がみえた。

海軍の船だ。

遠くの海が凍っていく。海兵達の叫び声が、海賊の声に混じりながらも聞こえた。


ドォンと、燃え上がる船が大きく揺れ、力が残っていない身体が海へと放り投げ出される。
赤い海面が揺れていた。目を光らせる海王類が、集まっていたのに今気付く。一匹だけだと思っていた。



海面に吸い込まれる直前、軍艦へ目をやるとこんな遠くから見える筈がないのに、誰かが泣いているの見た。

少し、後悔した。








そんな顔しちゃ笑えないや
prevtopnext







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -