船の上にいる人から梯子を出してもらい、船長の後に続いて登る。
甲板につけば、100人近くの海賊がかいへいと船長を囲むようにして歓声とどよめきの声をあげた。
ふと、振り返ってみる。
島が少しずつ、離れて行っていた。
シャボン玉が夕日に照らされオレンジ色になっていた。それが、少しずつまた遠くなっていく。
「よろしくなァ!」
「名前はなんてェんだ?」
言葉が次々とかいへいに降りかかってくる。それでも島を眺めていた。
「おいおい、よせよ!怖がってんだろォが」
日が水平線に半分以上隠れる。水面は眩しいくらいに反射している。かいへいは眩しそうに目を細めた。
「寂しいんじゃねぇのか?」
「ハハハッ!」
「宴するんだろォ?船長!」
そんな声は、届かない。
船長はニヤニヤしながらかいへいの肩に腕を回した。
「安心しろよ。あの島、次来たら…俺の縄張りにしやてるよ」
近い声にピクリと、手が揺れた。
最期なんて同じ様に離れてくのに
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