淀みは今までにないくらい波打ち、弾ける。
いやだ、と声にならない何かを叫んだ。
それと同時に、空気が震えた。
怒声や悲鳴、銃声は止み、金属音すら聞こえなくなった。
どさりと、一人地面に伏した。それに続いてどんどんとまた人が倒れていく。
その音が止めば、聞こえるのは自分の荒い息と男の笑い声。その声を辿れば、虎が人の姿へと変化していった。
立っているのは、男一人とかいへいだけだった。
「…その人に、手を、出さないで」
「まさか覇王色の覇気を持ってるヤツと会えるとはな…」
「この島から、出てって」
「嗚呼、いいだろう。手を引こう。岸にある船と野郎共も引こう。これ以上島も荒さない。…ただし、条件がある」
ゆっくり、男が近づいてくる。
先程の様をみて勝てる気はしないが刀を握ろうとしたら、力が入らなかった。
頭の中で、援軍はどうなっているのかばかりループする。
こんな事になるなんて、誰も思ってはいないだろう。大将がいたら変わっていただろう。
私では、何も、変えれない?誰も救えない?
すっと前を見れば、目の前に男が立っていた。
「仲間になれよ」
ニヤリと男は笑った。