近くの島、シャボンディ諸島で海賊が暴れていると通報がきた。
放送を聞いて、私も行かねばならないと知る。どうやら今日は殆どの海兵が海に出ていて本部に残っている海兵を集めて船に乗る。元帥はいるが、大将もそれぞれ海に出ているらしい。
軍艦に乗っている時、ゾオン系の能力者の船長がいるから注意しておけと中将が全員に言っていた。
島に降りるや否や、すぐに海兵と海賊がぶつかりあう。
私は海賊に注意しながら民間人を誘導する。
この誘導が終われば、私も刀を抜いて行かなければない。
それが億劫だった。ああ、青雉さんの気持ち、少し分かる気がする。
「すみませんっ!あの子わたしの子なんです…!助けて下さい!」
「私が助けますから、下がっていて下さい!」
誘導の途中だが、他の海兵もいるので抜け出す。乱闘している道のすぐ近く、家と家の隙間に小さな子が蹲っているのを見つけ、一目散に走る。
「もう大丈夫だよ。お母さんのところに行こう?」
「ふぇぇっ…おかあさんのとこいく…っ」
涙が止まらない子を一撫でしてから抱っこをして、また走り出す。
片手が使えないのを狙い、海賊二人と目が合った瞬間冷や汗が流れる。走りながら刀を抜いて、目の前にきた海賊を迎え討とうと思ったが、視界の横から人が飛び込んできた。
「ヘルメッポ、」
「行ってろ!これからもっと増えるぞ!海上に船があったらしい!コビーは後から増援として来る!」
「わかった。ありがとう、」
増援はいつ頃来てくれるのだろうか。そう考えてまた走り、先ほどの女性の元へたどり着けば彼女も泣いていた。
そこにいた海兵に誘導はもう大丈夫だと言われ、すぐに戦闘に加わろうとした。
後ろを振り返って見れば、島は戦場と化していた。
走り出せば、止まらなかった。
まるで周りの空気に呑まれるように、視界に入り近い海賊からどんどん斬っていった。この前みたいに斬り落とすまではいかないが、気付いたら服が海水を吸ったように重かった。
重いのは服だけじゃない。またいつもの様に、淀みが波打つ。
このまま私は消えていいのに
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