ああ、これが拷問っていうやつかな。
朝を迎える。…少し、痛みを感じる感覚が鈍くなってきた気がする。
それがいいことなのか悪いことなのかよくわからない。
私にとってはいい事なのかもしれないが、私の痛がる反応がなくなってきたら多分、次は剣だ。
そしたら今度こそ、誰にも気付かれずに死んでしまうんだろう。
遠くから低い足音が聞こえる。今日もくるのか、と思いながら上半身だけを起こしておく。目をつぶっていると海水をぶっかけられるので起きている、というアピール。
海水はベタベタするから最高に地味な嫌がらせだった。
そして、大柄な男二人が来る。
この船で目を覚ましてから、いつものように。
「いてェか?なァ、海軍さんよォ!」
ただ、暴行を受けてるだけのような毎日。やり返す力も気力もない。
「うッ、」
このまま死んだら、この人たちは少しでも気が済むだろうか。それとももっと火をつけてしまうだろうか。
…それはちょっと、だめかな。まだお世話になった海軍の人たちに恩返しもしていないのに、また迷惑をかける訳にはいかない。
でも、不可抗力ってどうなんだろう。
「まだ寝るんじゃねェぞ…?」
「…ッ、」
無理を言わないでほしい、と心の中でボヤいた。
チカチカと目の前がぼやける。サンドバックもいいところだ。
ゴッとお腹に拳がはいる。
逆流してくる胃液が不味くて気持ち悪い。肋が何本あっても足りなそうだ。
もしこのまま寝てしまえば、私に明日はきてくれないのだろうか?
夢の中のクラゲ
prevtopnext