「妙な行動すんなよい」



手錠でベッドヘッドに私の利き手だけを繋ぐ不死鳥の低くドスのきいた声は、心臓に悪かった。



不死鳥が部屋を出て行ってから、ジャラリと音を鳴らす手錠をまじまじとみた。

この船に牢屋はないらしい。人が多すぎて場所がないのか、その場で殺るだけなのか。しかし私は何故か殺されてない。海軍に易々と戻される訳でもないだろう。人質?海軍の情報が欲しいとか?うーん、どちらにしても変わらない。


…ああ、そういえばシャンクスが『あそこの1番隊長のマルコって奴はコエーぞ?まぁ慣れりゃいいヤツだけどな!』なんて言って笑ってたな。あの時はへぇ、なんて思っていたけど、結構役に立たなかった。



「(…それよりも、お腹減ったな)」



あのシチューは結局一口も口を付けずにお別れした。お腹を減らして、弱らせる為か、一つの拷問なのか。



_____死ぬのは、たしかにこわい。生きている私たちにとって未知の領域。

でも、なんだか、少しずつどうでも良くなってきた。


窓の向こう、海を見てみればオレンジ色に輝いていた。…もう眠ろうかな。



まどろみの淵で
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