僕らはほうきに跨がって森の上を飛んだ。その間、色んな話をした。マリーは森のことを、僕は家族のことを。例えば、森に住む魔物のことや一つの森には自立した一人の魔法使いしかいないこととか。マリーは子供だけど本当は産まれてから百年くらい経っていること。それから、僕のママがどんなに優しいかとか、犬のポポのことや友達のホープのこと。


そして、マリーが何故僕を森へ招待したのか、とか。


「だって、ハロウィンじゃない!」

マリーはそう答えてハロウィンのせいにした。ハロウィンの夜はまた会える?と聞くと、マリーは曖昧に笑って言った。

「ハロウィンの夜は気まぐれなのよ」






「あ、あそこ、マリー」

マリーの肩越しに、僕を連れてきた揺り椅子が待っていた。森から出たすぐの処だ。ふんわりと地面に降り立つと、マリーは小さな紙包みをくれた。マリーが魔法をかけた玉砂糖。


「ありがとう、マリー」
なんだか別れが惜しくて、僕はじっとマリーを見つめる。緩い笑顔がママに似ている。

「さぁ、行って。歌を歌っていれば直ぐに着くわ、本当、直ぐよ」

「うん。また会える?」

「そうね、ジニーが本当に誰かの為に何かをしてあげたい時には、『マリーお願い』って強く思えばいいわ」


そう言って微笑むマリーの様子で分かる。きっともう会えないんだ、二度と。最初で最後っきり。僕はにっこりした。永遠だとしても、さよならは笑顔で言うといつまでも良い思い出になるってママが言ってたから。

そして僕は揺り椅子に座った。僕を乗せてゆらゆらと夜空に浮いていく。
――バイバイ
僕を乗せた揺り椅子は、夜空に消えて行った。宇宙の中を行きながら、僕はずっとマリーの事を考えていた。歌が好きで明るくて、マリーみたいな魔法使いもいるんだね。周りに目を凝らす。マリーが言ってた「宇宙の特別な瞬間」ってどこにあるんだろう。

近くで星が流れた。流れ星。皆、流れ星を見つけると願い事を唱えるんだよね。誰かを思って、必死に三回唱えるんだ。
「宇宙の特別な瞬間」が、ちょっと解った気がするよ、マリー。










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