子猫ちゃんと狼さん





またルーピンが背中に大魔王背負ってる
あぁ、あんな腹黒キャラでいれたらよかったのに……


それなのにこんなブロンドに青い目、低い身長なんて、中身と全然合ってない
クールビューティー系なら合ってただろうけど、残念ながらゆるふわウェーブのふわふわ系だ。
どちらかっていうと、暗い髪色にグリーンや褐色の瞳で背が高くてっていう方が断然合ってるに決まってる



一年生の時に大人しくしてたら、どうにも癒しキャラだのなんだのと持ち上げられて。
私はアダルティな美人が理想なのに、学校中が私をマスコット扱い。
"キティ" だなんて、子猫だなんて。勿論私の名前はキャスリンじゃない。
元々私服はシンプルなものが好みで、ジーンズにシャツとか飾り気のないワンピースとか黒のブラウスにすっきりとしたスカートとかばっかりだったのに。
いつの間にか、装飾の多いトップスとか甘いニットワンピースとか白いフリルのスカートとかに変わっていた

成長期に服を買うのは休暇中じゃシーズンと合わなくて間に合わないことがあるから、通信販売が多くて。
シンプルなものがいいのに、同室の子には "そんなのキティらしくない! こっちの方がかわいい!!" って言われ続けた。反論するのももう面倒だ。 別に似合わないことはないんだけどね。

ちょっとでもすっきりとした服装をしようものなら"キティらしくない!" だの "背伸びすることないよ" だの、ホント鬱陶しい。
怒っても、"もうキティったら" とか "ごめんごめん" だとか "拗ねないでよキティ" だとか、私はそんなちっちゃな子供でないんだけど。何考えてんの



ホントは一人が好き。あんなお化粧と男の子のことばかり考えてる子達は嫌い。
ホントは口数は少ないの。なのに笑顔と愛想を撒き散らすことを強要されて、どんなに疲れるのか貴方達知ってる?
ホントは全然優しくない。ざまぁ って思っても評判落とすのが面倒だから言わないだけだし、ただ周りが期待の目を向けるから仕方なしに慰めにいく。



何でレイブンクローじゃなかったのかな。 こんなこと言ったら村八分だけど、いっそスリザリンの方が良かった。

私は他人に干渉されたくない。




あぁ、それに比べてルーピンはいいよね
腹黒で、優しそうに見えて困った顔して鬼畜 みたいな。如何にもなキャラじゃない。いいよねドSでキャラ確立しるなんて。やりたい放題しても、全てそれで済まされるじゃない。ある程度なら。
月一程度で体調崩すのも、病弱さが儚くていいのかもしれない。 この間は何処ぞの美人がルーピンに告ったらしいし。 なんか断ったらしいけど。どんだけ理想高いのよ。

悪戯仕掛人と一緒にいる時だって、そんな感じで…… あぁ、なんて羨ましい。
私が時たま彼らと話していても、怖い女の子達に色々言われないのは、私が"キティ" ってこともあるだろうから、それだけはまぁ いいんだけど。



でもやっぱり嫌だよ。 ふわふわしたあどけない "キティ" じゃないと私じゃないわけ? 偶に冷たい事言ってみても、"恥ずかしがってるだけ" なんて、何でそう都合良くとるかな。

あんなバカっぽいキャラ、本当にいや。知性が感じられないから。

男の子達はなんか守ってあげたい?みたいなスタンスで偶に告ってくるけど、全て断ってる。 だって好きじゃないし。イケメンじゃないし。ホントなんなの。
私は決して美人ではないから、お手軽なんだろうね。「 俺でもいけそう」みたいな立ち位置? なんて失礼な。


………分かってる。皆が求めてるのは "キティ" であって私じゃない。あんな天真爛漫な子じゃなかったら私なんか、皆相手してくれなかっただろうさ。

だから、いいの。 一生演じ続けてやる。貴方達が望む "キティ" をね。

あぁいっそ演技を習ってみようか。才能あるかもしれない。 去年ハロウィン・パーティーで有志でやった劇の主役、かなり好評だったもの。







だから私は期待してなかった。彼は相反しすぎていたから。






なのに

「君のことが好きなんだ。」


なのに


「ホントは伝える気なかったんだけどね」



それなのに


「君がシリウスと仲良くしてるのを見るのが苦しくてたまらない」




どうして_____



「だけど僕はそんなこと言う資格なんてないから。ごめんね 伝えたかっただけなんだ。」






こうなった?!










何このピュア。魔王どこ行った。
いつも背負ってた黒いオーラが霧散して、後光さしてるよ。何この癒し系オーラ。アンタそんなキャラじゃないでしょ


「へ? リーマス、どうしたの? なんか変な薬飲んだ? またジェームズになんかされた?」

妥当な質問だと思う。 ポッターなら面白半分に惚れ薬飲ませていても違和感ない。たぶん。

「そんなこと、ない。
僕は君が好きなんだ。三年生の時から。
ほら 君、温室でスプラウト助教授に課題で使った植物を直しておけって頼まれてた時に、手伝おうと思って後で覗いたんだ。そしたら君はいつも見せるようなふわふわした女の子じゃなくて、ぶつぶつ毒づきながら 綺麗な花びらに埋もれて作業してた。
なんて綺麗なんだろうって、いつも見せない顔だったけど、よく考えたら片鱗は所々のぞいていて、それがとても僕には愛しく思えたんだ。」



あー見られてたのか。アレ。痛恨のミスだ
あの時相当な量の花びらの処理を押し付けられてたんだっけ。スプラウトも忙しいんだろうけど、私一人に押し付けることないじゃないの ってかなり悪態つきながら作業してたけど。 普通、アレで惚れるわけ? 意味わかんない

て言うか待って、ルーピンに私の本性知られてない?
やっば。どうしよう。築き上げてきたものが…… でもちょっと待って、私の本性を見て惚れたってこと? え、でも花びらがどーたらって、え? は? 待ってわけわかんない。ちょっとホントわかんない。どういうこと?



「僕は、君が好きなんだ。
ふわふわした女の子じゃなくて、君が。
"キティ" じゃなくて、本当の君を愛してる
それに僕だって腹黒だの魔王だの言われてるけど、ホントはそんなんじゃないんだ。いつの間にか、そう位置づけられていたけど。」


嗚呼、ホントわけ…わかんない……
なんなの、私をホントに好きだっていうの
今まで私、何やってたの
人の好意と悪意には敏感だった筈なのに。センサーの感度落ちたかな。どこで修理してもらえるの。
て、え? ルーピン、貴方も演じてたの?

だから、気付いたのか。私の歪みに。




「………I love you. なんて婚約者レベルじゃないと言わないもんでしょ。馬鹿にしてんの
それにルーピン、貴方私の演技バラすつもり無いでしょうね。バラしたら一生 "ふわふわした小さな問題さん" って呼んでやる」

「じゃあお友達からかな。いつかは惚れさせるけど。
一生僕と居てくれるの? なら婚約者でいいんじゃない?
なぁんて ね。そんなの無理なんだけど、ほら、僕君が言う様に "ふわふわした小さな問題" を抱えてるから」

「……そんなのどうでもいい。例えルーピンが定期的魔力虚弱症とか月光錯乱症とか…… それこそ狼人間だったとしても、私は離れるつもりないから。逃げられると思うな」


「あぁ、本当に君って……」






そういって彼は私の呪わしき愛称を呼んだ。










……わざと言ってるでしょ

当たり前。更に天然だったらキャラ濃すぎだろ?

十分今でも濃いけどね。天然じゃなきゃ養殖か。
……あぁ なんて周りに説明したらいいわけ。ルーピンこの間あの美人な先輩ふったでしょ。どうしてくれんの。確実に火の粉かかるじゃない。

それはこっちのセリフ。この間君、ジミーだけど名家のぼっちゃんふっただろ。どうしてくれる。確実に魔王が天使を誑かしたって言われるよ。
て言うか、リーマスって呼んでくれないの?

やだよ なんで貴方なんか名前で呼ばなきゃなんないの

え?何で? 僕はいつでも君を名前で呼べるけど。 名前が嫌なら my sweet でもいいけど、そうしようか?

なにそれ意味わかんない

じゃあ呼んでみてよ。そしたら名前にしてあげるから。

……り りーぃ………りーます………

? 聞こえないな。もうちょっと大きい声でいってよ。


………やっぱアンタ絶対くろい素質ある!!!

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