「そういやさ、あの怪人達ってなんだったの?」
「あー、なんとかの家とかいう組織だったらしいぜ。ボスが俺の体を研究したいだか興味を持ったとかで怪人送り込んだんだとよ」
「へー確かにサイタマの身体のデタラメな強さの秘密気になるよなぁ」
「俺はお前の念能力のが気になるけどな」
「いや念に使わずに常に全身硬みたいな身体してるサイタマのがヤバいしどうやったらそうなるんだよ」
「お、強さの秘訣教えてやろうか?」
「マジ!?知りたい!」
「よし、じゃあこのラス1のナンコツ俺のな」
「ぐっ…仕方ないな…。ほら、あげるから教えてくれよ」
「いいか、よく聞け。腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回、ランニング10km。これを毎日欠かさずやることだ」
「…え?」
「最初は死ぬほど辛かった。だが俺は強いヒーローになるためにどんなに苦しくても血反吐ぶちまけても毎日続けた。その結果が今の俺の強さだ」
「…ええ…本当にそんだけ?」
「ああ」
「マジか。……うーん、辛くても辛くても頑張ることで限界を越える、みたいな?」
「死物狂いで己を鍛え込むのが大事なんじゃねーの?少なくとも俺はそうだった」
「なるほど。じゃあその理論で言ったら俺だってもっと強くなってても…。いや、まだまだ追い込む余地があったのか?もっと努力できたのかな…」
「トモキはどんな修行してたんだ?」
「え、俺?そうだな、俺は……。…………」
「お、おい。いきなり頭抱えて震えてどうした?」
「ご、ごめ、と、トラウマが……ちょっと…待ってな…」
「いやいやいや、そんななるなら思い出さんでいいって!悪かったから!ほら、飲んで忘れろ、な!」
「んぐ…。ふう、嫌な記憶の扉開いちまうとこだったぜ」
「あー…例の師匠か?」
「ああ、出会ってすぐの頃がマジで酷くてな…!比喩じゃなく何度殺されかけた事か…」
「苦労したんだなー、トモキ」
「あーあ、それでもサイタマに全っ然及ばないし。やっぱ実践よりも筋トレなんだな。よし、明日から死ぬ気で筋トレする」
「おーいいぞ。頑張れ」
「とりあえずサイタマ相手に数秒もつくらいの強さが目標!」
「お、手合わせするか?お前と一度やってみたいと思ってたんだよ」
「まてまてまて!目を輝かせるな!目標だって!俺がもっと強くなったらな!」
「いや今だって結構イケると思うんだよな、刀使っていいからよ。なぁ、やろーぜ」
「無理無理!!絶対無理!俺の刀が折られる未来しか見えねーもん!」
「その刀、念で具現化したやつだから大丈夫だろ?」
「だからこれ念能力じゃねーから!実物なの!これ折れたら俺困るの!」
「分かった分かった。じゃあ期待してっから頑張れよ」
「ああ、頑張る!まずは刀使わない縛りして、筋トレと走り込みして……よーし、強くなるぞ!」
「楽しそうだなー」
「もっと力を…!俺の魂がそう言っているのだ」
「はは、なんだそりゃ。あ、大事なこと言い忘れてた」
「なに?」
「強さの代償」
「え、なにそれ!やっぱり裏があるんじゃん!」
「ああ、俺は強さと引き換えに犠牲にしたものがある」
「そ…それは…?」
「髪」
「え……」
「血反吐を吐くような修業を始めて1年半。ヒーローとして申し分のない身体能力を得た俺はハゲていた。トモキ、お前にその覚悟はあるか?」
「……やっぱ修業やめ……いや!でも…!!くッ…」
「コイツ、本気で葛藤してやがる…」
「お、俺は信じる…。自分の毛根を……」
「ハゲろ」
「ハゲない!ハゲずに強くなる!」
「うるせえハゲろ!なにも犠牲にせず強さを手に入れられると思うなよ!」
「あー!髪引っ張んな!ハゲないったらハゲない!俺のじいちゃんも70過ぎてるけどハゲてねーし!大丈夫だし!」
「ハゲずに強くなろうなんて甘いんだよ!ハゲるまで自分を追い込め!」
「いやだー!若ハゲなんてヤダー!!」



(翌日から食卓に海藻類が増えた)


祝いの席で
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