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一撃お礼文。『激闘!ヒーロー学園』
若干ヒーローじゃないのも混じっていますが、学パロ。例によって男主夢です。





『激闘!ヒーロー学園』


「おいサイタマァ!今日という今日は俺と勝負しろ!」

黒い学ランをマントのように肩から羽織り、二王立ちするソニックは今日3度目の宣戦布告をしていた。
ソニックが俺に愚痴った話によると、一度目は今朝校門の前で待ち伏せていた時(その時は「おいサイタ」までしか言わせて貰えなかったらしい)、二度目はこれは俺も目撃したが休み時間の教室にて(この時は「今日という」の所で「うるせー」と頭にチョップを貰って撃沈していた)。
三度目の正直とは実に的を得ている。今回はその宣言に成功したようだ。
だが一方宣言された側であるサイタマはというと、心底面倒臭そうな顔をしている。そりゃあそうだ。毎度毎度こうもうざったく絡まれていれば地蔵のような頭をしたサイタマだって慈悲深くはなれないだろう。

「ったく、帰り道でまで待ち伏せしてんじゃねーよ。俺は勝負なんかしねえからな。」
「そうだ。先生はこれからタイムセールに出陣なさるんだ。ゴキブリを駆除している暇などない。」

どういう訳がサイタマを先生と呼び慕い心酔しているジェノスなどもう怒り心頭である。故意か過失か破けノースリーブ状態になった学ランから突き出た金属製の腕で拳を作り、ソニックに敵意を剥き出している。
俺まで巻き込まれそうで恐ろしい。ジェノスの金属製の腕からは焼却砲なる物騒なものが飛び出ることを俺は知っている。俺のクラスには物騒でクレイジーな連中が多いが、ジェノスもその例に洩れない。

「金魚のフンは引っ込んでいろ!雑魚に興味はない。俺の狙うは…貴様の首だァ!サイタマァ!!」

ソニックが吼えた。そして消えた。
…ように見えるのは俺の目だけらしい。ガキンと固い音が響いたと思えば、地上数メートルという空中に奴らはいた。ソニックとジェノスだ。
一瞬前には俺の隣にいたはずのソニックは、サイタマの隣にいたはずのジェノスは目にも止まらぬ速さであんな場所へ移動していたようだ。目の大して良くない俺にはよく分からなかったが、音と二人の体勢から察するにソニックの振り下ろした忍刀をジェノスが金属の腕で受け止めたらしい。空中で。

「先生の手を煩わせるまでもない!俺が相手だ、残念忍者!!」
「スクラップがお望みかポンコツ!身の程を知るがいい!」

空中での激しい攻防が起こっているのだろうが、残念なことに早過ぎて何がどうなっているのか俺には分からない。俺はポカーンと間抜けに口を開けて、まあ何時のも事なのだが繰り広げられるバトル漫画のような凄まじい戦闘を眺めるしかない。
そんな俺の袖をグイと引っ張る者がいた。

「おい。今の内にさっさと逃げるぞ。」

飛んできた流れクナイを軽くキャッチしながらサイタマが言う。
…流れクナイ?
サイタマがいなかったら危うく俺に当たる所だったじゃねえか、馬鹿ソニックめ。腹立ったから宿題写させてやらないぞ。

「ホラ、早くしねーと巻き込まれるぞ。」
「あ、おう。」

先導するサイタマの禿頭はピカピカと光って、まるでクリスマスの真っ赤なお鼻のトナカ……

「おい、なんか失礼な事考えてねーか?」
「イエ、ナニモ。」

走りながらジロリとこちらを振り返ったサイタマから目を反らしておく。怒ったサイタマに制裁を貰えば只では済まない事を重々承知だからだ。俺のクラスで、否この学園で最も強いのは、ソニックでもジェノスでも、チート級のエスパータツマキちゃんでも、筋肉オバケ教師のクロビカリやプリズナーでもない。人は見た目によらないというが、まさにこの気の抜けた顔とこの歳にして非常に残念な頭を持つサイタマなのだ。まあ、その実力を知る者は少ないのだが…。

「ジェノスの奴は置いてっちまっていいのか?」
「いい、いい。アイツ最近しつこくてよ。タイムセールにまで付いて来て観察日記書かれちゃ俺が参っちまう。」
「モテるな〜流石は学園最強。その割に女子には…」
「うるせえ!!」
「あ、でもフブキはどうなんだ?最近お前に何か熱烈に言い寄ってるじゃん。告られたか、ん?」

俺が走るのに疲れたため、歩きながらそんな話をすればサイタマは嫌そうな顔をした。

「違えよ。なんかアイツ、フブキ組に入れとかうるせーんだ。」
「なんだ、派閥勧誘かよ。でも告白と似たようなもんだろ。あんな美人と一緒の派閥なんて願ったりじゃねえか。サイタマ巨乳好きだろ。あれは絶対Eはある。」
「いや、俺はFとみた…じゃねえよ!駄目だアイツは。性格に難が有り過ぎる。それに俺は派閥とか面倒臭ぇのに関わりたくねーし。」
「贅沢言うなよ〜。俺らの学園女子少ないんだからさ。そんなんだから男にばっかモテるんだよ。」
「うるせえうるせえ!」

禿頭を振ってさっさと前へ進んでしまうサイタマを見て俺は笑った。
口ではあんなことを言うサイタマも、フブキの勧誘に構ってやったり、勝手に鍋パーティーに乱入してくるのを拒まない辺り、何だかんだでフブキの事は嫌いじゃないのだろう。

「つーかお前こっちまで付いて来ていいのか?お前んちあっちだろ。俺はむなげやに行くけど。」
「あー…成り行きで来ちまったな。いいや、キングんちでゲームしたいし。」
「あ?なんだお前もキングんち行くつもりなのか。」
「サイタマもかよ。じゃ、買い物付き合ってやるからお菓子買おうぜ。カラムーチョ。キングんちで食べる。」
「奢んねーぞ。自分で金だせよ。」
「えー今月金欠。」
「ふざけんな、俺は毎月金欠だ!」


キングには悪いとは思っているが、今日も彼の家でだべることになりそうだ。
彼が買うだけ買ってロクにプレイしていない携帯獣ゲームを俺が黙々とプレイしている間に、サイタマとキングは格ゲーで火花を散らすだろう。そしてその内、一勝負終えたソニックとジェノスが窓からでも侵入してくるのだろう。他人の家でまた喧嘩し出す二人をサイタマが制裁して、その内キングが夕飯を作り出すから皆それに便乗して弁当を買ってくるなり強請るなりして結局居座り続けるだろう。
サイタマの居場所を嗅ぎ付けたフブキがそろそろキング宅にやってきてもおかしくないが、彼女はキングの人類最強の男という肩書きを信じているようだからもしかしたら遠慮してるのかもしれない。今度俺が勝手に招待してみようかな。

「あれ、キングじゃん。」
「マジだ。キング今日お前んちでゲームしたいんだけど。」
「あ、サイタマ氏。別にいいけど。ってちょっと!なに人のカゴに勝手にお菓子いれてんの。」
「いいだろ、お前金持ちじゃん。この前他校の連中から大金巻き上げてたの見たぞ。」
「ちが…あれは相手が勝手に土下座して置いて行っただけで…」

鍋の具材を勝手にキングのカゴへ投げ込み始めるサイタマを見て、鍋パーティーの線が強くなるのを感じた。



実に平和な毎日である。多少女っ気に乏しくて残念だが、充実した青春時代である。
たまに隕石がピンポイントで校舎に落ちてきたり、宇宙人がかちこみに来たり、私立怪人学園を潰しに行ったりなんかもするけれど、我が学園、我が青春は誰がなんと言おうが平和なのだ。
なにせ、我が学園には最強のヒーローがいるのだから。






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