落ち着かない夜2

『いいですか白蘭様、もう絶対部屋から出ないで下さい。隊長も顔がバレたから外出禁止です。買い物などは私がパシられてあげますから用事がある場合は携帯で呼び出して下さい。では私は部屋に戻』

白「寅チャーン僕さ、巷で噂のご当地キティちゃんが欲しいからなるべく全種買ってきてくんない?」

調子に乗らないで下さい

正「白蘭サンあの子本気で怒ってますよ、下手したら僕らが寝てる間に顔に落書きとかしてきそうだから今回は諦めて下さい」

白「ちぇっ、しょうがないなー分かったよ。ところで本山君に肝試し誘われちゃったから一緒に行こう寅チャン!今から!」

『肝試しだとォォ!?ソレ団体で楽しむものですよね確実に綱吉様参加しますよね!?だめだめ絶対だめ!!なに考えてんですか!!』

白「肝試しやらずして僕の夏休みは始まらないよ、ご存知の通り僕は渚の白い肝試しハンターだからさ」

『初めて聞きましたけど!?駄目です絶対行かせません!肝試しならイタリアに帰ってからいくらでもさせてあげますから!』

白「ホレ行くよ寅チャン」

『ちょっテメコラ手を離さんかアアアア!!隊長も見てないで助けて下さいよ!!』

正「いや僕この部屋から出るなって言われちゃったから…」

『律儀ィイイ!!』







『ちょ…っと、白蘭様マジで立場分かってますか!?私達が今向かってるとこって………はくしゅっ……ほらァァ綱吉様が噂してるんだ!』

白「気のせいだよそんなの。いいじゃんいいじゃん、宣戦布告だよ」

『何の!?』

白「あっ分かったー寅チャンおばけ怖いんでしょ?だからさっきからそんなに震えて………寅チャン?」

『…寒い………』

白「何言ってんの?外だからって夏なんだから寒いわけないじゃん、どしたのさ。更年期障害?」

『違いますよ………』

白「そんなに気分悪そうなのに律儀にもツッコミを入れる寅チャンの心意気に乾杯だよ。ねぇ顔青いよ、1回部屋に戻る?」

『そうさせてもらいま……』

山「オーイこっちだぜ寅、白江さん!あれ次男は?」


げっ武様だ……ってことは近くに綱吉様や骸様もいるのかも。ヤバイよ、白蘭様ってか白田さんってか白江さんがここにいるなんてバレたら何て言って誤魔化そう……あぁ考えることが多すぎて頭が回らない………… …


バタッ


白「寅チャン!?」








正「…っちゃん!寅ちゃん!!どうして……っ目、開けろよぉ………!!」

入江隊長……?アレどうして隊長がここに……確か私と白蘭様は外にいて、武様が来て……。なんか記憶が曖昧だ。目の前は真っ暗で、まぶたが重くて周りの状況も確認できない。私、いったいどうしたんだろ…?
すると私の顔の上に置かれていた布のようなものが除けられ、人工的な白い光を浴びせられた。

正「寅ちゃん……っ」

白「綺麗な顔、してるよね………まるで…まるで生きてるみたいに………うっ」


は?


生きとるわァァァ――!!!

正「うわっ目覚ました」

白「あちゃー今ちょっと感動的なシーンだったのにー」

『知るかアア!!なに今のまるで私が天に召されたかのような芝居っぷり!?』

白「まさにその設定だったわけだよ」

『縁起でもないわ!!だいたい私なんでこんな所で寝て…っ』

正「覚えてないの?寅ちゃん白蘭サンに運ばれて戻ってきたんだよ」

『……え!?』

白「コレばっかりは本当の話だからね。肝試しに向かう途中、寅チャンは鼻血噴いてぶっ倒れたあとピクピクしながら山手線一周の全駅名を言い切ったんだ」

『うわ私気持ちわる……!!』

正「ほとんど嘘だよ」

白「まぁ倒れたってのはマジだよ。多分風邪だね。熱もあったけど微熱だったからちょっとふざけてご臨終ごっこしてたんだ、ゴメンネっ」

『そのノリでなんちゅー残酷な遊びを…………待って下さい、微熱ってどのくらいでした?私低体温なんでもしかしたら本格的に風邪引いちゃったかも』

白「確か37.0ぐらいだっけ?」

『うわヤバイ!微熱どころの問題じゃない、ぶっ倒れるわけですよ!』

白「はぁ?大袈裟な。寅チャン平熱どのくらいなのさ」

『34℃』

正「人類としての生命活動は正常?

『なんですかその目。普通ですよ。たまに33℃台になることもあるけど平然と生きてますよ』

白「寅チャンてけっこう奇跡的に生命維持してたんだね、ごめんね今までこき使って」

『なんですか今更……はくしっ』

白「髪の毛ちゃんと拭かないまま外に出たりするから風邪引くんだよまったく」

『その理屈でいくと半分は白蘭様のせいだと確定しますがよろしいですか』

白「余計なこと喋ってないで寝てなさい」

『なんだそれ…………あーあつい………』

白「寅チャン大丈夫?正直僕には発熱37℃の苦しみがまったく理解できないんだけど苦しそうだね」

正「まぁ一応平熱より3℃も上ってことになりますからね」

白「正チャン、売店かどこかで何か冷えピタ的なものを買ってきてよ。風邪に効きそうなものも。ネギとか」

正「え、だって僕寅ちゃんに外出禁止されちゃってますから」

白「ねぇそういうのいらないから、さっさと行ってきて。寅チャンが死んじゃったらどうすんのさ。あとは僕が看とくから」

正「…はい、すみません」

ガチャッ……


『…白蘭様、私死にませんよそんな簡単に………』

白「うん知ってる。でも倒れたのは事実だからね。これ以上ビックリされられるようなことが起これば僕の方が心肺停止しちゃいそうだもん」

『白蘭様はそんなナイーブな人間じゃないでしょう』

白「ぶっ倒すよ。……明日からも面白そうなイベントが沢山あるって本山君が教えてくれたから、早く治して一緒に遊ぼうね」

『…だから、何度も言ったように私はボンゴレの使用人として来てるんですから一緒に遊ぶことは出来ませんってば』

そう言ったけど、できたらその数々のイベントには白蘭様とも一緒に楽しみたいなぁ、なんて不覚にも思ってしまった。叶わないけど、ボンゴレの皆さんとミルフィメンバーで一緒にいれたらそれは私にとってとても心地良い場所になるんだろうな。今日の肝試しだって………

『そういえば肝試しはもういいんですか?あんなに張り切ってたのに…』

白「ん?いいよそんなモノ。1人で行ったって面白くないし」

『…そう判断して下さって心底安心しました』

白「それより寅チャンが早く回復しなくちゃね。僕が夏休みを楽しむためには寅チャンがいてくれないと困るんだよ」

『…あのね、白蘭様に夏休みなんてありませんから!学生生活引きずる年でもないでしょ!大人になってまで何言って……』

ドンドンドン!

『?何の音ですか?』

白「あ、そうそう覚えてない?寅チャンが倒れたとき、ちょうど本山君もその場にいたんだよね」

『それが何か?』

白「自分とこの使用人が倒れてたら、普通真っ先に上に伝えにいくよね」

『……ってことは、』

ガチャッ!

綱「寅!?」

了「大丈夫か!?」

ラ「倒れたって聞きましたけど…!」

雲「部屋せまっ」

獄「…ん?誰だコイツ」

骸「おや白田さんお久し振り」

山「白田?白江さんだろ?」

骸「白田さんですよ臨時清掃員の…」

綱「…寅のお兄さん……」

獄「兄貴って…マジですか!?」

了「兄弟がいたのか!」

山「次男の入江さんもいるぜ?」

ラ「…ん?しかし彼女の苗字って鳴海じゃあ……」

雲「じゃあ白田とか白江とか入江って誰さ。苗字いくつあんのさ」

山「そういや全員苗字違うな」

獄「気付けよ」

綱「寅……どういうこと?」


神様、最悪の事態ってこう何度も連続するものでしょうか。
できることならもう一度ぶっ倒れて、意識を手放してしまいたい。


next..



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