メイドさんの朝2
コンコンッ
『雲雀様ー?』
雲「………何?」
『あっあの実は急ですが任務に……うわっヒヨコパジャマ着てるよこの人!!いい歳して可愛い趣味してんなオイ!!』
雲「ヒヨコじゃなくてただの黄色い鳥なんだけど」
『何この真剣な目…!私的にかなりどっちでもいいのに。まぁいいや、ある意味似合ってますよ。白タイツよりは』
雲「何なのその辛口チェック。ピーコか」
『どちらかと言えばおすぎ派です』
雲「そうなの!?てかそんな派閥あるの!?…で、何か用じゃなかったの?こんな朝から」
『あぁそうそう、今から任務行っていただけませんか?』
雲「は?そんな予定入ってないけど」
『骸様の代わりに』
雲「あーやだやだ絶対やだ。なんで僕があいつの代わりに?何の義理があって?勘弁してよ」
『お願いします!骸様昨日から一睡もしてらっしゃらないようで、今もまだずっと……』
雲「昨日の任務が長引いてるとか?どこか出かけたままなの?」
『えと……魔王の城です』
雲「城!?」
『城です(ヴァーチャルの)』
雲「城…ねぇ。魔王の。魔王……。まぁいないとも言い切れないよね。魔王。うん。魔王………まぁいいや。行ってあげてもいいよ、任務」
『本当ですか!?』
雲「ただし僕の今日の朝ご飯ハンバーグにしてね。気合入るからアレ」
『出たハンバーグ……。この人ハンバーグ以外に喋る言葉ないんですかね』
雲「そういうことは思っても口に出さないでよ。僕のハートはプレパラートなんだよ。じゃ、よろしくね」
『はい!キッチンの鍵取ってきますね!』
『…おかしいなー』
屋敷で必要な鍵が置いてある部屋に来たんだけどどこを探してもキッチンの鍵が見付からない。コックさんはまだ来ていないはずなのにおかしいな……。
その時、背後でドアの開く音がした。
獄「くせものォォォ!!!」
『ぎゃあぁあああ!!!?』
獄「…って寅か。まぎらわしいよテメェ」
『隼人様ですか!?まぎらわしいってそんな!何と間違えたの!』
獄「さっきこの部屋に入っていくのが見えてな。俺はてっきり不審者とばかり……」
『だからってポンカン投げないで下さいよ!目に汁が入って痛いです!ていうかなんでポンカン!?』
獄「庭で育ててるポンカンが豊作だったからつい……」
『アジトで家庭菜園してんの!?』
獄「ていうかお前は何してんだ?」
『キッチンの鍵を探しにきたんですが見付からなくて……』
獄「キッチンの?それなら昨日アホ牛……ランボが持ってってたぜ?」
『そうなんですか?ありがとうございます、今からランボ様の部屋に行ってみますね!』
獄「おう。50階まではしんどいだろうからエレベータ使っていけな」
『50階!?』
獄「エレベータまではここからちょっと遠いが、真っ直ぐ行ってそこを右に曲がり次の角を左へ行って3つ目の角を左に曲がるとそこは行き止まりだから、暗証番号を入力してドアが出現してから更に右へ――…」
『……………』
『って分かるかァァ!!迷ったああああ――!!!』
了「ん?お前は確か新入りの寅ではないか?」
『あぁああ゙!!り、了平様助けて下さい!迷子になりました!一生出られない!私どうしたらいいですか!?あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!』
了「落ち着け!?」
『は、はい…でも本当に大変なんです……。右も左も分かりません。ここ本当に1つの屋敷内ですか。どっかから別の空間に繋がるオプションとか付いてないですか』
了「そういったファンタジーな話は聞かないな!この屋敷は広いが慣れればなんとかなるものだ!よし、俺が目的地まで連れていってやろう!」
『本当ですか!?あの、エレベータまで行きたいんです!』
了「任せろ!俺についてこい!」
『頼りになる……さすが体育会系…!』
了「しかしエレベータにいったい何の用があるのだ?」
『いやちょっと………あ、これが隼人様の言ってた暗証番号入力するところですね!組織っぽい』
了「ふむ………」
『どうしました?』
了「暗証番号を忘れたぞ」
『ちょォォオオ!!?』
了「困ったな、よし!誰かを探しにいくぞォォ!」
『今からですか!?』
了「広いところへ出れば誰かいるはずだ!急げぇえー!!」
『なんで走るの!?』
了「ぬぉおおぉおおお!!」
山「はよーッス、何してんスか?」
了「おう山本!ちょうど良かった!一つ聞きたいことがあってな!」
『ぶはァっ、ぶはァっ、たけし、様、ぶはァっ』
山「なんか凄い呼吸法なのな」
了「寅がエレベータまで行きたいと言うのだが、途中の道で必要な暗証番号を忘れてしまってな!教えてくれ!」
山「あぁ、それなら俺も一緒に行くぜ?すぐそこだしな。ていうかなんでエレベータ?」
『ふァ゙っ、ふァ゙っ、ランボさ、ふァ゙っ…』
山「答えられそうにないのな」
了「よし、もう一度暗証番号に挑戦だァ!」
山「行くかッ」
『走らないでえええ』
……ピ、ピ、ピ
山「ん、これでオッケー」
了「先へ進むぞー!」
山「オー!」
『ヴォー…』
了「元気がないぞ寅ー!!」
山「エレベータ着いたぞー」
了「おお!階段ばかり使っていたから久々に見るぞー!」
『やっっと着いた…!よぉしコレで一気に50階まで…』
ピ
『あれ?』
ピ
『…?』
ピ
山「何やってんだ?」
『いやエレベータ呼んでんですけど……動かなくて』
了「それはそうだろう」
『は?』
了「エレベータは先日から修理中だぞ!」
『先に言ってよおおおお!!!』
山「だから疑問だったんだよなー。なんでエレベータまで行きたいのかって」
了「俺も」
『結局階段…!』