メイドさんの朝
『ぎゃああああああ!!!』
やっべェェェ寝坊した!!6時起床なのに現在11時って!普通クビだよ!今日に限って白蘭様が勝手に改造した携帯の目覚ましも鳴らないし!
『あ゙ぁああおはようございますぁあ!!』
綱「朝から元気だね。無駄に」
『ねねね寝坊してしまってごめんなさい!!これには深い理由が特にあるわけではないんですが気が付いたら11時でした!』
綱「11時?今まだ朝の5時だけど」
『5時!?なに自分だけタイムトリップしてんですか!?どこをどう見ても11時…っ』
差し出された綱吉様の腕時計は紛れもなく5時を指していました。
『…………』
綱「寅の時計壊れてんじゃない?」
『いやでも携帯のアラームもセットして…あ』
綱「何」
『携帯の電源きれてました』
綱「馬鹿じゃないの」
『あれー?おかしいな、昨日の夜携帯ゲームで3時まで遊んでてそのままのはずなのに…』
綱「それでよく5時に目が覚めたね」
『ま、どーでもいっか!ところで何か仕事ありますか?』
綱「仕事ねぇ…あ、じゃあ六道骸のこと起こしてきて。早朝任務って伝えたのにあの果実野郎が寝坊しやがって困ってんだよね」
『分かりました!骸様を起こしてくればいいんですね!』
コンコンッ
『骸様ー?朝ですよー』
ドアの前から呼びかけても返事は返ってこなかった。ので恐れ入りながらも中を覗いてみることにした。
『……骸様?こんな時間まで寝て、任務なのに何やって…』
骸「ほあちゃアァァアアア!!!」
『マジで何やってんの!?』
骸「おや?寅じゃないですか。なんですか。夜這いですか」
『夜這いって……もう夜じゃないし』
骸「え?何時ですか?」
『もうすぐ5時半ですよ』
骸「おやまぁ遅刻じゃないですか、困った困った」
『本当に困ってます!?』
骸「あいにく僕は今忙しいので行けないと伝えて下さい」
『そんな無茶苦茶な……。なんですか?仕事ですか?』
骸「ええ。魔王を倒しに行くんです」
『ま……え?魔王?』
骸「なんですかその胡散臭そうな眼差しは。本当ですからね、僕の手に世界の全てがかかってるんですからねっ!」
『は、はぁ…(なんだこの人…これが俗に言う厨二病ってやつなのか…確実に中学生には見えないけど…)が、頑張って下さいね骸様…!』
骸「シャラァアアップ!!」
『何!?』
骸「僕は今この瞬間から骸ではありません。僕のことは勇者ワタルと呼んで下さい」
『誰!?』
骸「さぁめくるめく冒険の世界へ。スイッチオン!」
『今まで全部ゲームの話かよ!?』
骸「さぁ今日から新しいステージに挑戦ですよドゥルッフゥー!」
『ってコラ。そんなことより骸様には任務が……』
骸「ワタルだと言ってるでしょう!!」
『骸さま顔がクワッてなってるよクワッて!初期設定のままみたいな名前によくそこまで入れ込めるな!』
骸「寅もやってみますか?」
『え……じゃあ少しだけ』
骸「意外とノリがいいですね。友達になれそうです」
『遠慮しておきます』
骸「!?」
『どういうゲームなんですかコレ?RPG?』
骸「RPGですね。主人公が仲間のモンスターを連れて魔王を倒しにいくんです。ちなみに主人公は武士です」
『武士!?モンスター連れてるのに!?なんですか、設定が戦国時代だったりするんですか?』
骸「多分そうでしょう。町の雰囲気は現代風に見えますがとにかくワタルは武士です」
『なんか無茶苦茶ですね……』
骸「ちなみにタイトルは世界大戦Game22」
『世界大戦!?世界情勢に魔王関係ねーだろ!?』
骸「だからー、敵国の総大将が魔王なんですよ」
『なぜ戦国に魔族が……。しかも22ってどれだけ長編ゲーム?今までの21本は何を成し遂げてきたの?』
骸「あっ敵が現れましたよ寅!」
『ええ!?ちょちょちょ、コレどうやって闘うんですか!?』
骸「自分の手持ちモンスターで闘います。いけっフシギダル!」
『何ですかこのフシギダネに酷似したタルっぽい生き物!?』
骸「フシギダネ?なんですかソレそっちがパクリなんじゃないですか?それより攻撃ですよ攻撃!たるっぺの体力がなくなってしまうでしょう!」
『また気味の悪いニックネーム付けてるし…!ど、どの攻撃がいいんですか?』
骸「タルタルソース攻撃を選択して下さい!」
『何だその駄洒落くさい名前…!だんだんイライラしてきた!ええい一撃でイケたるっぺェエエ!!』
骸「ぉおおワタルの勝利です!あなた才能ありますよ!」
『えへへ。アレなんかたるっぺウズウズしてるけど何ですかこれ?』
骸「進化ですよ進化!」
『見事にポケモンのパクリだ…!』
骸「やりましたァァ!!フシギダルがフシギゾウに進化しました!」
『どういう遺伝子操作をしたらタルが象に!?』
骸「ありがとうございます!寅のおかげです!」
『あ、エヘヘそんな………じゃなくて!!任務ですよ骸様!』
骸「あぁ、やはり僕は行けそうにありません。この調子でズンガメも進化させたいので。雲雀くんにでも代わりに行かせといて下さい」
『えええ!?そんなのアリですか!?』
骸「お願いします、僕昨日から一睡もしてないんです」
『それはゲームしてたからでしょう!』
骸「僕のお気に入りの枕カバーをあげますから」
『いらね……。分かりました、雲雀様に頼んでみます』