嗚呼、私の望んだ場所3

『白、蘭さま゙ァあ…っ!!』

白「おかえり、マシマロ買いに行っただけなのに死にそうだね」

『ちょっと全力疾走したら途中で意識が消えかけて気付いたら車にはねられていたんですが全然大丈夫なんで気にしないで下さい!』

白「なんで生きてんだろうね?」

『いやぁ、日頃の行いの賜物というか』

白「だったら確実に即死だよ。なんで病弱なのにそんなに生命力強いの」

『そんなことより大変です!私の財布…財布……!!』

白「スられた?」

『ボンゴレに忘れてきました……!』

白「マジでェェェェ!!!?

『マっ、ジですけど……白蘭様の反応の方が衝撃なんですが…』

白「たまにはオーバーリアクションもいいかと思って。まぁ別にいいんじゃない?」

『全然よくないです!お金がないと携帯買えないじゃないですか!』

白「マシマロ代なら出してあげるから」

『意味ねええ!』

白「どうせ1000円くらいしか入ってないんでしょ?」

『はァ?白蘭様1000円ナメてんですか?いいですか、10000円だって1000円10枚でできてんですよ?何事も1000円の積み重ねで世の中は成り立ってんですからねコレ」

白「話のスケールが少々大きすぎないかな」

『それにマックのクーポンも入ってますし!』

白「天下のミルフィオーレがマックのクーポンに心動かされないでよ」

『……白蘭様。私ボンゴレに戻ります』

白「え?」

『そして……そして財布を取り戻してみせる………っ!』

白「馬鹿なの?1000円とクーポンの為にまたメイドさんになる気?」

『大丈夫です!こっそり行ってこっそり帰ってきますから!』

白「無理だよ。寅チャンほどこっそりって言葉が似合わない子もそういないよ」

『もし見つかってもきっと誰も私の顔なんて覚えてないでしょうから!ホラ私ってどこにでもいるような顔してるし、メイドさんなんか皆だいたい私と同じ顔ですよ!』

白「気持ちの悪い職場だね」

『では行ってきます!』

白「ちょ、寅チャン待、」

『分かってますって、ちゃんと5時までに帰ってきますから!』

白「それじゃない!

『いっそげー!』



白「……携帯代くらい貸してあげるのに」

マックだって奢ってあげるのに。








『はぁはぁはぁ疲れた……何も走ることないのに……自分が分からない……』

とりあえずボンゴレに着いた。こっそりと昨日与えられた自分の部屋を目指す。


ガチャッ

『あったー!』

机の上に愛用の財布が置いてあった。おぉ財布、私の財布、よくぞ私の元へ帰ってきた!マックも無事!神は私を見捨てなかった!時間もたっぷり余ってるし、ミルフィオーレに帰る前に携帯ショップとスーパー、それからローソンに寄って行こう。

『あと何ポイントでヤマザキパンの皿貰えるっけ………』

ベッドに寝転がってポイントを数える。

『2点…5点…6.5点…8点……あれなんだっけ。もう一回、2点…5点…6.5て、ん…………』










寝ちまったあああああ!!!!

どぉおお!!!ポイント数えてたらいつの間にか寝ちゃったよ!!けしからんぞ私ィィ!!時間は4時半、30分でミルフィオーレまで帰るなんて無理だ!どうしよう!腹いてェェェ!!

『とにかく抜け出そう……!』

部屋を飛び出した。



『げっ綱吉様』

走ってたら前方から綱吉様が歩いてきた。ヤバイ、隠れないと。私は近くにあった銅像の後ろに身を隠した。
誰かに電話してるっぽい。こっちには気付いてないみたいだ。よかった、なんとか乗り切れそう!やっぱり私スパイに向いてる……



[寅チャン電話だよー、寅チャン電話だよー、寅チャン電話だよー、]

綱「……寅?」

私かあああああ!!!

白[寅チャン電]ピッ

『もすもすー』

綱「訛ってる訛ってる。ねぇ寅近くにいるの?」

『こんにちは!私リカちゃん』

綱「誰もリカちゃんに電話してねぇよ。いつ帰ってきてたの?」

『……つい先程』

綱「あっそ。今どこ?この辺にいるんでしょ?」

『えっと……銅像の後ろに』

綱「何故そんなところに

『私にもよく分かりません……』

綱「…………。早く出ておいで」

『実は今人に追われていて姿を現すと心臓にドカンと一発「さっさと出てきなさい

『はい』

私は銅像の後ろから顔を出した。

綱「……何してたの?」

『その…あまり人に自慢できるようなことは…』

綱「だろうね」

『ああそんな足の裏にくっついた米を見るような目で……』

綱「寅の荷物は?」

『あ……忘れました』

綱「何しに帰ってたんだっけ

だって戻ってくる気なんかなかったんだからそんなの準備もしてねぇよ!ばーかばーかサイヤ人!なんて口が裂けても言わないけど!

『あっ、じゃあもう一度取りに………』

綱「もういいよ。必要な分はこっちで用意するから」

『え!?イヤイヤイヤそんな迷惑かけられません!!帰ります!』

綱「使用人が足りてないからなるべく早く仕事始めてほしいんだよね。明日も荷物取りに行かせてる暇ないんだ」

『…そうなんですか』

綱「というわけで明日から沢山働いてね。しばらく忙しいと思うから」

『…了解です』


結局ボンゴレの自室に戻ってきてしまった。折角のチャンスだったのに……うあああ私の馬鹿ァァ!!

白[寅チャ]ピッ

『白蘭様ァァ!!!』

白「うわ早っ。ちょっと寅チャンもう5時過ぎたよ、何してんの」

『うわぁぁんどうしよう白蘭様!!また捕まりました!!』

白「馬鹿でしょ。だから言ったのに先生の言うことちゃんと聞かないから」

『ごめんなさい…』

白「ツッこんでよそこは」

『お願いします……助けにきて下さい……!』

白「分かった分かった、気が向いたら行ってあげるけど白蘭様ちょっと今忙しいから切るね」

『えっなんだと白蘭様、忙しいってそりゃあんたが3時間も寝過ごしてるからそんなことに、』

白「じゃーねー」
ピッ

『切りやがったァァァ!!』


こうして生活はボンゴレのメイドさんに逆戻り。自分が悪いとか言ってはいけない。決して言ってはいけない。嗚呼、最大の脱出チャンスを逃してしまった私に、ミルフィオーレに帰れる未来は来るんだろうか。


next..



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