嗚呼、私の望んだ場所


白[寅チャン朝だよー、早く起きないとクビにしちゃうよ!寅チャン朝だよー]

『……もうツッこむ気も起きない』

朝六時を示す携帯電話は、聞き慣れた白蘭様の声を響かせていた。


『おっはようございまぁぁす!!』

綱「朝っぱらからウザイほど元気だね……」

『よく言われます!朝好きなんで!』

綱「ふーん。そんなことよりコーヒーいれてくんない?」

『うっほ!了解ですっ!なんか初めての仕事らしい仕事ですね!』

綱「失敗しないでね」

『しませんよぉ!こう見えても私緊張とかあんまりしないタイプなんで!』

綱「見たまんまだよ


ん?このコーヒーメーカー前使ってた物とちょっと違うなぁ………まぁいっか、多分ここ押せばコーヒーが出……


あ゙っちゃあぁあぁあああ!!!

綱「うるさっ!何!?」

『あっつー!!何これコーヒーの勢い半端ねぇ!ビックリしたー!!』

綱「俺のがビックリだよ。あんた今どっから声出したの。その小さい体から発せられたなんて俺は信じないぞ」

『そう言われましても…』

山「っはよーさん!」

綱「あぁ山本、おはよう」

『おはようございまぁぁす!!』

山「よぉ、コーヒーいれてんのかお前?偉いなー」

『えへっそれくらい普通ですよ!』

綱「失敗したくせに」

山「俺も一杯頼んでいいか?」

『了解でっす!』

山「……なぁツナ、今朝でよかったんだよな?寅が荷物取りに帰んの」

綱「ん?あぁ」

山「昨日それ言ってやったらコイツ大喜びでさー。ホームシックなんだって」

綱「…へー」

『お待たせしました!コーヒー完成です!』

綱「寅の服におびただしい量の茶色い染みができてるけど理由聞いた方がいい?」

山「いらねーだろ」

『それがですねー』

綱「勝手に喋り出したぞ」

『いやーコーヒーがびゅんびゅんはね返ってくるから。あのコーヒーメーカー私を敵襲か何かと勘違いしてますよ』

綱「そんな機能ないよ」

『それでは3人で朝の一杯を頂きましょう!』

山「ちゃっかり自分のもあるのな」

『いただきまーす!…ぷあーッ、朝はこの一杯に限る!』

山綱「「甘ぁ゙!!!」」

『えっどうしたんですか』

綱「甘、甘あァァ!!」

山「なんかジャリジャリするぞ……!?」

『あー。お砂糖まだ溶けてなかったかな』

綱「砂糖!?俺ブラック派なんですけど!」

『ブラック!?馬鹿!あんなの人間の飲むモンじゃないよ!!』

綱「なんか怒られた!」

山「にしても入れすぎじゃねーかこの甘さ……」

『私はいつもこのくらいですよ?』

綱「今寅との埋められない距離を感じたよ」





『そんでは行ってきまーっす!』

山「気ィ付けてなー」

綱「……待って」

『はい?なんですか?』

綱「外出の前に聞いておきたいことがあってね。寅、履歴書に嘘の電話番号書いたでしょ?」

『え…?』


げぇえええなんでバレてんのぉお!!?


綱「昨日確かめる為にかけてみたら知らない人が出て布団買わされそうになったよ。ビビった」

『あ、あれー……書き間違えちゃったのかな……』

山「ドジなのなー」

綱「じゃ、今正しい番号書いてよ。いつ連絡が必要になるか分からないし」

『え………あ、はい』

仕方ない、ここはちゃんと本当の携帯番号書いとこう。後で携帯の番号変更の手続きすればいいだけだし、まぁ自分の責任だからお金は自腹か……。

『……はい、これでした』

綱「(前のと全然違うじゃん。何をどう間違えたんだ)ん、ありがと。確認の為に今かけるから携帯出してて」

『はい』

綱「………今かかったよ」

私の携帯も、着信を伝える赤いランプが光った。

『あ、来ました来ました……』



寅チャン電話だよー、寅チャン電話だよー、寅チャン電話だよー、



山綱「「………」」



忘れてたァアア!!!



白[寅チャン電話]ピッ

『も…もしもーし』

綱「いやいやいや出なくていい。それよりも今は寅ともっと別のことについて話し合いたいと思う」

『なんでしょうね』

綱「何その携帯」

『DoCoMoです』

綱「ばか」

『!?』

綱「俺は今その声の主についての話を伺いたいんだよ」

『…どうしても聞きたいですか』

綱「うん」

『わかりました…言いましょう。しかしこれはどうかご内密に。もしこの真実が他に漏れるようなことがあれば、私の命これまでです。その時はどうか…私のことを忘れないでくだs』

綱「いいからちゃっちゃ話せ」

『………お兄ちゃんです』

山「兄ちゃん?」

綱「出た……」

『うわあ嫌そうなお顔!違うんです、これはお兄ちゃんがいつ如何なる時も僕の声が聞きたいだろーとか言って勝手に設定しやがったんです!!私が被害者!』

山「ふーん。おもしれー兄ちゃんなのな!きっとお前のこと大好きなんだろーな!」

『はァァァ!?やめて下さい気持ち悪い!!そんなわけないでしょうあの真っ白シロスケが!そのセリフ兄の前で言ったら蹴り殺されますよ!私が!』

山「お前がかよ」

綱「もーいいから早く行ってこいよ」

『はい!行ってきまーす!』

綱「夕方までに帰ってこなかったら電話するから」

『……はーい』


なるべく早くドコモショップに行こう。





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