黒ツナマヨネーズ105円

私は今非常に焦っている。
なぜなら、学校まであと………



黒ツナマヨネーズ105円




2分!2分しかありません隊長ォォォ!!もおおお朝の子ども劇場見てる場合じゃなかった!あれがなかったらこんなに急がずに済んだのに!なんで今らんまやってんだバーロー!見ちゃうだろバーロー!でもこのまま全速力で走ったら間に合うかも!そこの角をまっすぐ行けば学校に………


ドォァァァン!


『った!』

いてェェェ!!よりによってこんな日に人にぶつかっちゃったよ!前見ろ馬鹿者!
はっ!でもこういうのって少女漫画でよくあるアレじゃない?いい加減ネタが古いけど美少年だったら逃す手はない!!ポケットに入れたまま洗濯しちゃったしわくちゃのハンカチしかないけどまぁいっか!


『あっあのスイマセン、大丈夫ですかっ?』

綱「……寅かよ」

って沢田かい!!損した!なんかめっちゃ損した!』

綱「ちぇっもしかしたら美少女転校生かと思ったのに」

『お前もかよ!やっぱり考えることはみんな同じ……』

キーンコーンカーンコーン

『「あ。」』

『……………』

綱「てめぇ…俺の皆勤賞…」

『知らねーよ!てかあんたこないだインフルエンザで見事1週間休んでたじゃん!もう皆勤賞の望みねぇよ!』

綱「ちぇー。遅刻か………あ」

『えっ何!』

綱「弁当忘れた」

『なーんだそんなことか!やーいやーいマヌケ!ではさようなら』

綱「ちょい待って」

『痛い痛い痛い!!腕つかむ力がちょい待ってのレベルじゃないよ!』

綱「コンビニついてきて」

『なんで!?』

綱「だって今俺がここで遅刻してるのもすべては寅のせいだし?」

『弁当はおのれのせいだろ!?』

綱「さっさと行くよ!」

『あああ私先生に提出するプリントがァァァ』

綱「あ!いいこと思い付いちゃった」

『何…?』

綱「コンビニまで競走しよう!」

『やだ!』

綱「よーいドン!」

『無視!?』




『つ、疲れた……ていうか沢田が消えた…。コンビニ着いたのにどこにもいないし。抜かした覚えもないのに』

プルルルッ

『おっ沢田からだ』



綱「寅ー今どこー」

『コンビニー』

綱「俺もー」

『そっかー』

綱「じゃねー」



プルルルッ

綱「じゃねーじゃねぇよ」

『切ったのそっちじゃん』

綱「お前どこ?」

『トッポの棚の前』

綱「いやそんなピンポイント」

『え?え…っと。あ、ちょうど真横に監視カメラあるよ。ピース』

綱「やめろって。俺その場にいないのに恥ずかしい」

『で、沢田どこにいんの?』

綱「ローソン」

『ゔそッ!私セブンイレブンにいるよ』

綱「なんで。どう考えてもあの場から一番近いとこってローソンじゃん」

『知らないよ。真っ直ぐ進んだらセブンイレブンに着いた』

綱「右に曲がれよ」

『沢田もこっちおいで。シースー売ってるからシースー』

綱「業界用語使うな」

『あっ!ツナマヨだ!うまそ!』

綱「ツナマヨ?」

『おにぎりだよ。ってか沢田って確か下の名前綱吉だよね』

綱「それが何」

『いやいっそ沢田ツナマヨにしたらいいのにと思って』

綱「やだよ」

『うまそうなのに』

綱「とりあえず寅ローソンまでダッシュ来い」

『沢田が来い』

綱「やだ」

『ジャンケンポン!』

綱「寅何出した」

『グー』

綱「俺パー」

『えっせこ!じゃ私チョキ』

綱「終わんねーよ」

『じゃあアレだよ。素早く携帯切った方が勝ちね。さん、にー、い』ピ

『最後まで言ってねェェェ!!!』

プルルルッ

綱「はいはいツナでーす」

『黙れよ。ちょっと今の反則じゃね?フライングじゃね?』

綱「俺には最後まで聞こえたけど」

『んなわけないじゃん。私言ってないもん』

綱「いや言った言った。いツっ……って。消え入るように」

『そんな儚げにカウントしないよ。ねぇもう1回やろ』

綱「よしきた」

『じゃあ今度はちゃんと聞いてね。次ズルしたら訴えるから。3、2、1、』

ピッ

『………。よし。絶対私のが早かったねコレ。多分向こうもそう思ってるけど』

プルルルッ

綱「やっぱお前来い」

『なんでえええ!』

綱「さっき気付いたけどコレあんまり勝敗はっきりしなくね?」

『それ気付くの遅くね?』

綱「ファイブミニ飲んだ方が早くね?」

『ファイブミニ関係ないよ』

綱「じゃあコレが最後の勝負な。ピザって10回言って」

『は?ぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざ』

綱「じゃあここは?」

『肘』

綱「ローソンでした〜!」

『分かるかァァ!!』

綱「というわけで寅カモン!」

『まま待てっせこいお前!』ピ

『切りやがったァァァ!!』



綱「これでやっと昼飯選べるよ。寅は多分ここまで5分はかかるだろうからゆっくりしてよう。んー、パンにしよっかな」

『ツナマヨにすべきだよ』

綱「ぎゃああああ!!?

『人の顔見てぎゃあああって』

綱「えっ電話切って10秒しか……え!?何してんの!?」

『沢田と話してる』

綱「いやそれは分かるよ!話相手だから!そうじゃなくてさ!」

『落ち着いてよ。正気に戻って』

綱「俺は正気だよ。むしろ事実の方が疑わしいくらい」

『何言ってんだ馬鹿。そんなことよりさっさとツナマヨ買いなよ』

綱「ツナマヨ買わないから」

『え?』

綱「…何その顔」

『“マジで言ってんのかコイツきめぇー”って顔』

綱「ツナマヨ買わないだけでこの仕打ち」

『だって私ツナマヨが食べたい』

綱「買えよ自分で」

『無理。さっきリプトン買ったから』

綱「あんなにツナマヨ推してたくせにリプトン以下か」

『あ!ていうか私ジャンプ立ち読みしてくるわ。沢田はさっさとツナマヨ買ってきな沢田ツナマヨ!』

綱「ジャムパン買うからやだ」




綱「買ったから行くぞ」

『ちょ待っ、いま一護がぎゃああああああ』

綱「急がないと遅刻だ遅刻」

『とっくにしてるよ!!』

綱「競走しよっか」

『しないよ。さっきので私らの意志の疎通の出来なさ身に染みて分かったでしょ』

綱「よーいどん!」

『無視!?』








プルルルッ

『もしもしかめよー』

綱「ちょ!なんでお前さ目的地学校なのにいつまで経っても来ないわけ?」

『ごめんなんか黒曜中ついた』

綱「お前どこ行ってんのォォォ!!?」

『おかしいなぁ。言われたとおり右に曲がったのに!』

綱「左だよ!!」

『え!?さっき右って!』

綱「それローソンまでの話だから!右に曲がりゃいいってモンじゃねーよ!」

『へー』

綱「今学んだの!?おいもう2時間目終わるぞ!早く来いって!」

『そうしたいのは山々なんですが』

綱「え?」

『ちょうど今黒曜中の不良に絡まれちゃいまして』

黒「ようよう姉チャーン可愛いじゃんコラァー」

黒「一緒に来いよー言うこと聞かねぇと怖ぇぞー俺たち不良だからァー」

綱「不良!?嘘だろ!」

『嘘じゃないよ自分で不良って名乗ってるし』

綱「振りほどいて逃げろ!」

『ムリ私か弱いから』

綱「よく言うよお前!!」

黒「姉チャーン昼飯付き合えよなァー」

黒「おごってやんぜー」

『沢田どうしよう私お昼ごはんおごってもらうことになっちゃった!』

綱「喜ぶなァァ!!ちょ、今行くから待ってろよ!?」

『うんガストで待ってる!』

綱「ついていくなァァァ!!




『……なんですかここ』

黒「あ?飯だよ飯ィ」

『ちょっ、話が違う!なんでこんなところ……っ』

黒「いいから早く中入れよォー」

黒「へへっ」

『いーやーだー!ちょっ離せー!!』

綱「寅ーっ!!」

『沢田っ』

黒「あ?誰だ?」

綱「ガストにいないから探したよ……。お前ら寅に何してんだ?」

黒「何って昼飯……」

『いや!そんな話聞いてない!ガストって言ったじゃん!なんでコンビニに変更してんだコラァ゙!!

黒「そう言った方がついてきてくれると思って」

『いやそれにしてもコンビニって!安っ!いやアンタらは男として安いよ!人間としてもね!大特価セール品だよ!9割引とか!』

黒「安っ!」

『そんなに女を捕まえたかったら他を探しな。出直してこいブァカ』

黒「く、くそっ!」

黒「覚えてろ!」

『セリフも安い』

黒曜生たちは逃げていったとさ。
綱「…………」

『愛の勝利だね沢田』

綱「いやぶっちゃけ俺いらなくね?

『でさー私いま気付いたんだけどさー』

綱「話題変えやがったなコノヤロー。何」

『私も弁当忘れてた』

綱「今更!?」

『どうしよ……リプトンのせいで金ないし』

綱「リプトンに罪ないよ。……待ってろ」

『え?』




綱「……ほらよ」

『え』

綱「今そこのコンビニで買ってきた」

『ツナマヨおにぎり…』

綱「ガストじゃなくて悪いけど」

『まぁね』

綱「黙れ」

『…ありがと!』

こうして私達は無事、登校を果たした。時刻はすでに3時間目だけども。


『はーやっと着いたね沢田!』

綱「ほんとだよ。さ、早く中に…」

山「おっツナに寅じゃねぇか!」

獄「10代目!どうして今日はお休みに!?」

綱「は?休み?」

『なんで2人共かばん持って帰ろうとしてんの?』

山「今日からテストだから学校は3時間で終わりだぜ?」

『「は……?」』

獄「何か学校にご用でも?」

山「そんなら俺ら先行ってんぜー?」

綱「……………」

『帰ろっか沢田綱麻呂』

綱「……そだね」


ツナマヨおにぎりでも食べながら。




おわり



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