企画 | ナノ



今日は久しぶりにジムがお休みになったらしく今朝早くグリーンから掛かって来た電話で目を覚ましたあたしはパートナーのゲンガーを連れて彼の家までやって来た。グリーンはゲンガーを見るなり何とも言えない表情を浮かべていた。

「いてっ!コノヤロッ!髪引っ張るな!!」

あたしがグリーンの部屋で漫画を読んでいる傍らでグリーンはゲンガーと楽しそうに戯れていた。ゲンガーが笑い声を上げてグリーンにちょっかいを出しているのを一瞥して自然と頬が緩んだ。ゲンガーは昔からグリーンのことが大好きなようで彼に会えば必ずと言っていいほど何かしら悪戯を仕出かす。グリーンも嫌そうにしてるわりによく見れば楽しそうに…見えないこともない。

「仲いいよね〜二人は。」
「これのどこをどう見たら仲良く見えるんだ。」
「え?ゲンガーが楽しそうだから?」

グリーンは白い目であたしを見た。何か言いたげだったから首を傾げて見返していたら溜め息を吐かれた。どうして溜め息なんだろう。ゲンガーは遊び飽きたのかふらりとどこかへ姿を消した。多分オーキド博士の所だろう。今頃お菓子でももらっているに違いない。グリーンはキョロキョロと自分の部屋を見渡してゲンガーがいなくなったことを確認してからあたしの隣に移動した。手に持っていた漫画をひょい、と取り上げられベッドの上に放り投げられた。名残惜し気に投げられた漫画を目で追っていたらグリーンが膝に頭を乗せてきた。これは…もしや膝枕というものでは…。

「グリーン、」
「何だよ」
「重い。」
「……我慢しろ。」

ええ〜。なんて言いながら本当は久しぶりに甘えたな彼を見れてちょっと嬉しかったりする。グリーンのツンツンした髪を弄っていたらふいにポツリとグリーンが呟いた。

「なまえ、俺と会うときゲンガー連れて来るのやめろ。」
「何で?」
「アイツ……オスだろ。」

だから何だっていうんだろう。グリーンの言いたい事がわからずに眉を寄せれば、困ったように笑った彼がすっ、と手を頬に伸ばして来た。

「俺が嫉妬するから」
「ポケモンに?」
「うるせぇ。」

ぐい、と腕を引かれグリーンの顔が目の前に迫った。あ、と思った時グリーンから悲鳴が上がった。

「痛ぇえええ!!」
「あ、ゲンガー!おかえり!」

お菓子を沢山持って帰って来たゲンガーはグリーンの髪を思いきり引っ張って再び遊び始めた。グリーンは涙目でゲンガーを睨んで怒鳴っていたけどゲンガーはそれさえも楽しそうに笑って見ていた。

「ゲンガー楽しそう。」
「俺は全っ然楽しくねぇ!!!」

グリーンは叫んだ。