▽もう黙ってください


「名前、好きだよ」


「えっ…。わ、…私も、です」


「愛してる」


「臨也さん…っ」







「っていう夢を見たんだけど、」


「仕事しろ」



コの字型のソファーに座りながら仕事をしている私に、折原さんが後ろから抱き締めるように首に腕を絡めてそう言ってきた。
かなり邪魔だから腕を外そうとするがなかなか取れず、今に至る。
まぁ、諦めて仕事に集中しているわけです、はい。
でも何故か上司が仕事をサボって私にちょっかいをかけてくる。
かなり迷惑。本当に迷惑。
一度地獄に堕ちればいいのに。



「ねぇ、名前。俺達両想いじゃん?だから早く結婚してキス沢山してそれ以上のこともヤろうよ」


「黙れ。というか両想いじゃありません。付き合ってもないのに結婚とかほざけ。キスもそれ以上のこともあなたとは死んでもしません」


「あ、ツンデレだ。ツンツンなところも可愛いけど偶にはデレも見せてほしいなぁ」


「ツンデレじゃありません。私は一生折原さんだけにはツンツンです。デレ何か見せません。というかありません」


「そういうのがツンデレなんだよ。まぁ、ベッドの上に行ったらデレ」「お願いだからもう死んでください」



どうしてこんな変人が上司なのだろう。
いや、その前に何で私こいつの部下になったんだろう。
あぁ、仕事先が全然なかったから仕方なくだった。
ならもう自分で仕事探そうかなぁ。



「駄目だよ名前ちゃん。もしこの仕事止めたら俺がまた連れ戻すから」


「さり気なく心読まないでください。それも連れ戻すとか有り難くない迷惑です」


「あははっ、だからさぁ。名前ちゃんはお金に困ってるんでしょ?」


「当たり前です。だからこうして仕事探してるのに直ぐに素敵でムカつく変態ぼっち情報屋の所為でクビにされるんですよ。あ、違う。クビじゃなくてクビされる前に仕事入るの断られるんでした」


「あははっ、良かったね。これで一生俺と一緒じゃん」




「本当に一回だけでも死んで。もう、いい加減まともな仕事させてください。あなたは私の親ですか」


「死ぬのは嫌だなぁ。俺名前ちゃんの親じゃなくて彼氏だから俺が死んだら名前ちゃん泣くでしょ?」


「寧ろ喜びますよ。そして彼氏じゃありません」


「じゃあもし俺が死んだらどうする?」


「お墓に骨埋めてあげます」


「いや、そうじゃなくて」


「もう、煩いです。仕事してください」


「飽き……終わったよ」


「さり気なく飽きたって言いましたね。駄目ですよ。ほら、早く離れて仕事してください。邪魔です」


「じゃあ今日はもう仕事止めて終わりにする?その方が名前ちゃんも楽になるでしょ。勿論、給料は下がらないよ」


「流石折原さん。じゃあ私は帰り、」


「さ、じゃあ一緒にベッドに行こうか」


「もうこいつ嫌」




(そんなことなら仕事します)
(え、別に仕事くらいいいよ。俺後でそれくらいしとくよ)
(いやいいですよ、私します。あ、別に折原さんの為とかじゃありませんよ!)
((……デレた))



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