▽寧ろ好き


※3Zで夢主は高杉姉設定です


私はあの不良、高杉晋助の姉だ。
でも、だからと言って私自身不良でもないし、友達が少ない訳でもない。
寧ろ友達は沢山居るし、周りからは「弟さん大変だね」と言われている。
まぁ、無理もない。
しかし私の弟は、不良だからと言って大変な訳ではない。
勿論喧嘩もするし、返り血を服に付けたり、または自身の血を流しながら帰ってきたりと大変だ。
でも私が一番大変だと思うことはただ一つ。



「姉貴、帰るぞ」


「はいはい、今行くー」



……ちょーっとシスコンだと言うことだ。
いや、間違った。
かなりのシスコンだ。多分。

晋助は今みたいに毎日の登下校は何故か私に付いて来るし、一人で買い物に行こうとした時も当たり前かのように付いて来る。
前なんか友達を家に連れてきたら「誰だこいつ」何か言って友達に喧嘩を売っていた。
勿論その時はちゃんと怒ったが、それは毎回変わらず、相変わらずその癖を直してくれない。
かなりの困ったちゃんだ。

でも晋助がシスコンになってしまったのは仕方がないこと。
勿論100歩譲ってだが。
晋助がシスコンになってしまった理由は勿論家庭の所為だ。私達の親はいつも一言目には勉強、勉強、勉強。
少しでも遊んでいたら勉強は?と直ぐに問われる。
だから親に甘えるということが少なかった。
その所為で晋助は私に愛情を求めるようになり、私は晋助の親代わりになったようなものだった。

そう、だからだ。だから私は困っているのだ。
一応私は親の代わりに晋助に愛情をあげていた。
ただ甘やかすだけではなく、ちゃんと駄目な時も叱ってあげたし、喧嘩もしたことがあった。
一般的な育て方をしたつもりだったのだが、どこで間違ったのか、晋助はシスコンと言う、今の状態に至る。

あぁ、私の教育が悪かったのだろうか。
別にシスコンにしたくて育てた訳ではない。
寧ろただの平凡な弟に育てようとしたのだ。なのにこの有り様。
思っただけでも苦笑いが零れる。



「あ、姉貴。あこにアイス売ってるけど食うか?」


「おぉ!食べる食べるー。早く行こっ!」



私達は近くにあったアイスクリーム屋で互いに好きな種類のアリスを買う。
私は抹茶で、晋助はチョコだ。
買ったら、再び何時もの通学路を通りながら家へと歩きだした。
口の中に抹茶の味が広がり、その甘さが丁度良くて、美味しさのあまり頬が緩む。



「あー、やっぱ抹茶いいね。あ、でも晋助のも美味しそうだな」


「食うか?」


「食べるー」



晋助の手にあるチョコのソフトを自身の口の中に入れる。
口の中に残っていた抹茶の甘さが、チョコに占領され、どんどんチョコの甘さがはっきりと伝わる。
また美味しい、と笑みを作って言おうとしたところ、急に晋助が私がアイスを持っている方の手首と腰を掴んで、私の頬をペロッと舐めた。
けど晋助は何事もなかったかのように私から離れ、満足そうな顔をしている。



「…甘ぇ」



どうやら私の頬にアイスが付いていたようだ。
だけど私はただ口をパクパクさせながら晋助を見つめる。
きっと私の顔は真っ赤だろう。
何たって弟だからってこんな行為をされるのは慣れてない。
いや、慣れたくない。
それに気づいた晋助は此方に視線を向けて口角を上げた。



「ごちそーさん」



チョコソフトを何時の間にか食べ終えていた晋助は私を置いてスタスタと歩きだす。
呆然と口を開けたまま立っていた私は直ぐに我に返り、晋助の方に晋助!!とちょっと怒り気味に叫びながら走っていった。
こんな弟だけどやっぱり好きだな、なんて思っちゃうんです。



(なっ…!何すんだ馬鹿野郎!)
(はっ、ざまぁ)
(何だよこのシスコン!変態!)
(何とでも言え)
(いや、そこは否定しようよ)



[back]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -