▽嫉妬心


今夜も凄く冷えている。
雪がチラホラと落ちてきて、私の頭や服に乗っかる。
寒いのを防ぐためにマフラーに深く顔をうずくまる。
そして息をハーとだし、手を温めた。
寒さのせいで吐いた息は白い。
頬には涙の粒がいくつも伝っていて、声はヒックヒックと言っている。

そんな寒い中私はただ1人で夜の雪道を歩いている。
理由は勿論銀時と喧嘩をしたから。
神楽ちゃんや新八君と話していて、銀時とはあまり話さなかったからだ。
べつに話したくなかった訳じゃない。
話したかったけど神楽ちゃんと新八君とでずっと話していたら銀時に話し出す機会がなかったのだ。
そんな神楽ちゃんと新八君に焼き餅した銀時は俺より神楽や新八かよ、と声を低くして言った。
違うの、って言っても「じゃ、何で俺には構ってくれねーんだよ」と言う。
私は怒った銀時に何もしてあげられなかった。
だから私はごめんねっと謝り万事屋から出て来たのだ。
出て来た時から涙が止まらない。
私は万事屋に住んでいるから帰る場所もない。
でも今帰ったって銀時と気まずくなるだけ。

神楽ちゃんや新八君も困るだろう。
いや、新八君はもう帰ったかもしれない。
私は未だに流れ続ける涙を流しながらも橋の上で月を見上げた。



「うっ…ヒック……銀時…」



やっぱり喧嘩したって銀時を思い出し、銀時に会いたくなる。
そんな我が儘誰も聞いてくれないけど銀時と会いたい。
会ってまた謝り、銀時と沢山話したい。
私はまた謝りに行こうと決心し、顔をマフラーにうずくめたままその場から一歩踏み出す。
すると前方から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。



「名前!!」



聞き慣れた私の大好きな声。
私はすぐに顔を上げた。
そこには息を切らして、こちらへと走ってくる銀時だった。



「ぎん…と、き…」



はぁ、はぁと息を切らしながら走ってきた銀時は私の所まで来ると私を抱き締めた。



「名前…。すまねぇ、俺が小さな嫉妬したばかりに名前に寒い思いをさせちまった…」


そう言ってまた力を込めて抱き締める。
私は流れていた涙がさっき以上に沢山流れ出した。

これは嬉し涙。
さっきとの悲しい涙じゃない。私はすぐに銀時の背中に手を回す。



「ぎん…ごめっ」
「俺の方こそすまねぇ…。こんなに泣かせちしまって…。大切な名前を俺の所為のせいで泣かせちまった……。本当にすまねぇ」



抱き締めていた片方の手で銀時は私の涙を拭う。
そして私の顔を覗き込み、帰ろうぜと言った。
私に涙を流しながらもニコッと微笑んでうん、と言った。





((ただいまー))
(あっ!2人共帰ってきたアル!!)
(良かった〜、名前さんが無事で!)
(新八君まだいたの!?)
(はい、心配でしたので)
(これに懲りて銀ちゃんも嫉妬は止めるアル)
(んなこと言われても無理ですー。普通嫉妬してしまうものなんですー)



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