▽数字な名前
今日は何と4月20日。
4月20日と言ったら私はこう思う。
「420=静雄」
「何でだよ」
隣で煙草を吸っているシズさんにすかさずツッコミを入れられた。
私はそんなシズさんの方に顔を向け、口を開く。
「だってそう読めるじゃないですか、420(シズオ)って。漫画とかによくありそうですよね。名前が数字で読める人って」
「俺は漫画の世界の人じゃねぇよ」
「知ってますよ。ただ居そうだなーって」
手に持っていた紙パックの野菜ジュースを飲みきり、それを近くにあったゴミ箱の燃えるゴミに入れる。
入れたと同時に立ち上がり、シズさんの前に立つ。
そんな私の行動を不思議に思っているのか、シズさんは首を少し傾げている。
「だから今日はシズさんの誕生日です」
「いや、違ぇよ」
「そういうことにしといてください!今日は私がシズさんの誕生日(仮)を祝います。ので、出掛けましょう」
「(仮)って…。仕方ねぇな。付き合ってやるよ」
「何でそんな上から目線なんですか。うぜっ」
「あ゛ぁ?」
「いやんっ、シズさんってば上から目線イケメン!もうまじ最高です。だからゴミ箱投げようとしないでください!」
青筋を立てて今にも私にゴミ箱を投げようとするシズさんに私は一生懸命謝った。
いや、もう本当精一杯。
だって前自動販売機投げられて大怪我しそうでしたからね。
口には注意をしなくては。
焦る私に対してキレそうなシズさんは持ち上げようとしていたゴミ箱を置いて、でも少し青筋を立てている。
あぁ、やっぱ怒ったらシズさん怖っ。
苦笑いを浮かべながら、私はシズさんの手を掴み、にっと笑う。
「!」
「ほら、シズさんデートですよ!行きましょうっ」
ぐいっと手を引っ張った。
何となくだが、腕を引っ張って先頭を歩く私から伝わるシズさんの手が熱く感じた。
(シズさん、何処行きますか?)
(……)
(シズさん?)
(……)
(シズさーん、…シズシズ)
(……)
(……………シズちゃん)
(…………………………あ゛!?)
((反応遅っ))
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