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亡国のユダ【海図43】

フェイタンは地面に刻まれた文章の解読を進めていた。

マチ達にもシンロンが残した手帳の内容が偽りであるかもしれないという話はした。
そしてこの発見である。
この地面に刻まれた内容こそ事実であると考えると様々な疑問が解決する。

「どう?」

「この文章は日記になてるね。洞窟側がより古く、王城へ向かうほどに情報が新しくなてるね。」

「じゃあ洞窟に幽閉されてたっていう王妃が書いたってことだね。」

「文字自体が磨耗してるからちょと時間は掛かるね。ワタシの知てる文字と少し違うところもあるし。」

それだけ言って、フェイタンは集中モードに入ってしまう。

「それじゃあたし達は一旦ノブナガのところに戻るわ。パク、行くよ。」

聞いているのか聞いていないのか集中しているフェイタンに一応そう声を掛け2人は王城方面へと戻っていった。





「ノブナガ、そっちはなんか進展あった?」

「おー、おめぇらか。こっちは何も。やっぱこの即身仏にはこれ以上の事はないと思うぜ。それよかそっちはなんだったんだ?派手な音がしてたみてぇだが。」

ノブナガが聞くと、マチはああ、それね、と言ってから簡単に説明をした。

「ほぉ、そんじゃ今フェイタンはその文章解読中って事か。」
「そういうこと。で、あたしらはどうしようか?手伝えるような事もないし、一旦地下出て他のところも見てみる?」

「そうね、一見重要そうではないところにも何かあるかもしれないわ。」

と、女性2人の意見にノブナガも従い、一旦地下から出ることにした。

玉座から元の場所に戻り、クリスタルもレリーフに戻すかと1度考えたが、何かと鍵になっているこのクリスタル。他にも使う場面があるかもしれないとそのまま持って歩く事にした。

「それにしても確実だと思ってたシンロンの手帳の内容が嘘かも知れないって聞くともう何を信用すればいいのかわからなくなるわね。」

「相手が死人だからおめぇの能力も使えないしな。」

パクノダがフッと小さくため息を吐く。

「ま、結局は自分達の勘と知識を信じるしかないって事だね。」

マチの言葉に2人は頷く。
それからまず単純に考えてみようという話になる。

「そもそも1人の能力者が2つの系統の能力を強力に使えるか?」

「そりゃ普通は先天系統を100%として両隣の系統はそこそこ強く使えるけどそれ以外はそこまで得意ではないわよね。」

「未知数なのは特質系の場合だが……特質系の能力の割にはなんつうか、特殊性を感じねぇよな。」

ノブナガの言うとおり、幻獣を出現させるというのは明らかに具現化系の能力だ。
そしてその幻獣を出現させなくする方法が幻獣の具現化とは別の能力だとしたら、こちらが特質系のように感じる。

特定の範囲内の念能力を打ち消すような能力を持っている能力者はいるが、それならば今ここにいる幻影旅団の団員達の念能力も封印されるはずだ。
となれば、クリスタルを嵌める事で幻獣のみを出現しないようにしているということだ。

あーだこーだと話しながら王城跡周辺を3人は歩き回ってみた。


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